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( ^ω^)戦国を歩くギタリストのようです 第十二話 2011年05月12日 ( ^ω^)戦国を歩くギタリストのようです トラックバック:0コメント:2


403 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:13:57 ID:bIWJ.cLkO [2/25]
***
第十二話 「螺旋人生」

***


 それからの展開は早かった。

 総大将が敗れたことで、根十城の乗っとりにほとんど成功していたはずの天野勢が混乱。
 その背中を僅かな二茶根瑠勢の兵が襲いかかり、天野勢は完全に腰が引け、撤退を余儀無くされた。

 半ば強引な形で、天野勢から根十城を守ることに成功した二茶根瑠勢。
 数では負けたが戦に勝った。
 勝ち鬨の雄叫びが、根十城中に響いていく。


 根十城大手門付近では、四人の人影が、緊張のほぐれた様子で集まっていた。

404 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:14:23 ID:bIWJ.cLkO [3/25]
 
( ^ω^)「渚本介さん、大丈夫ですかお」

(´メω・`)「ああ、片目があれば刀は振れる」

ζ(゚ー゚*ζ「これで天野勢はもう問題ないわね。擬古成がいなければ、戦の理由もなくなる」

(´メω・`)「逆に天野に攻めいる軍が増えるだろうな。奴はそれだけの恨みと領土を奪い取っていた」

( ゚д゚ )「……とにかく」

 
 巳留那の威厳のある声が、その場を静かにさせる。
 渚本介のほうを向き、頭を下げながら、巳留那は言葉を並べた。


( ゚д゚ )「此度の戦、貴殿の御陰で勝利に傾いた。感謝致す」

(´メω・`)「御面をお上げください。この勝利は二茶根瑠の兵の強き精神があってこその勝利。感謝なら兵士達にお伝えしてください」

( ゚д゚ )「フ……」

405 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:15:41 ID:bIWJ.cLkO [4/25]
 
( ^ω^)(´メω・`)「!」

ζ(゚ー゚;ζ「えっ!?」

 常に気難しい顔で、感情を表に出さなかった巳留那が、小さく笑った。

 三人が驚き、巳留那の顔を見る。
 特に出麗は大きな目を更に丸くして、軽く飛び上がるほど驚いた。


( ゚д゚ )「む…なんだその顔は」

ζ(゚ー゚;ζ「あ、いえ…」

 
 城はボロボロにされ、所々に火の手が上がっているというのに。
 自身達はもう満身創痍だというのに。

406 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:15:54 ID:bIWJ.cLkO [5/25]
 
(´メω・`)「…はは」

( ^ω^)「フヒヒww」

ζ(゚ー゚*ζ「きめえ」

( ^ω^)

( ゚д゚ )「フ…」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、また笑った!」

( ゚д゚ )「…なんだ、余が笑うのは禁じられているのか」

ζ(゚ー゚;ζ「いえ、決してそうでは…」


 それ以上の喜びが彼らを包む。
 天野に対して勝利をおさめたことに。
 今、生きていることに。


 城はいつの間にか消火が進められ、遺体も片付けられ始めていた。

 東の空が、少しだけ青に染まってきた。

 

──

407 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:16:51 ID:bIWJ.cLkO [6/25]
──
 

 多くの犠牲を出した悲しみや、勝利の余韻。
 それらが城内を包む中、巳留那が全兵を集めたのは、その翌日の夜のことだった。

 本丸天守前の広場。巳留那が示したその場所に集められたのは、天野勢に対して勇敢に戦った、二茶根瑠勢の生き残り約九百人。
 臨時に設置された台に上り、かなり少なくなった兵達を見渡し、巳留那が重く響く声を出した。

 
( ゚д゚ )「死を恐れず、迫りくる刃に身構え、勝利を連れ出でた勇猛な兵士達よ。此度の戦、お前達の闘心あってこその勝利。誠に感謝する」

 
 兵達の顔がほころんだ。
 満面の笑みを向けるもの、涙を浮かべるもの。

 それほどまでに、巳留那の言葉は、彼らの胸に響くものだった。

408 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:17:50 ID:bIWJ.cLkO [7/25]
 
( ゚д゚ )「これで我が二茶根瑠領も安泰。平和という時代は、もはや目の前にあり」

( ゚д゚ )「この平和はお前達が掴み取ったものだ。体を休め、心を休め、死に行くまでそれを誇るがいい」

 
 二茶根瑠勢にしてみれば、ひどく長い緊迫だった。

 武力のある二茶根瑠領を天野が狙っていると知ったのは数年前。
 それからというもの、この戦に向けて二茶根瑠は身構えてきた。
 何年も、いつ来るかわからない敵に怯えながら、時には奮い立ちながら。

 しかし、その緊迫ももう終わった。
 随分と仲間が死んでしまったが、それでも終わったのだ。

 奇跡に近い、勝利という形に収めながら。

 

──

409 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:19:19 ID:bIWJ.cLkO [8/25]
 
──


( ^ω^)(どうするかお…)

 
 巳留那の演説が終わった数時間後。
 ブーンは物見台に座りながら星空を眺めていた。

 これからどうするか。これがブーンの悩みだった。
 ブーンがこの根十城に来た目的は、尾付出麗に会って元の時代に戻る手がかりを掴むことだ。
 天野を待ち構えるために来た渚本介とは違う。

 しかし、当の出麗はブーンがタイムスリップしてきたことすら知らないようだ。
 何故かブーンの部屋にあった、タイムスリップのきっかけである出麗の琴爪も、普通に返してしまった。

410 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:19:41 ID:bIWJ.cLkO [9/25]
 
 もはや、自分に起こったことのすべてを出麗に打ち明けてみるしかないのか。
 そうでもしなければ、一生この時代に留まってしまいそうで怖い。

 
( ^ω^)「……」


 姿勢を崩し、そのまま寝転んで夜空を見る。

 ブーンがいた時代の東京では絶対に見られないほどの、満天の星空。
 これを眺めていると、元の時代に戻らなくてもいい気がしてきて、ブーンは目を閉じた。

 優しい風が、ブーンの体を撫でていった。

 
──

411 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:20:58 ID:bIWJ.cLkO [10/25]
 
──

 

(´メω・`)(これからどうするか…)

 
 随分と人のいない兵士宿舎の治療室に、渚本介は寝転んでいた。
 包帯をぐるぐる巻かれた体を寝かせ、汚れた天井を見つめる渚本介。

 その考え事は、ブーンとまったく同じものだった。

 
(´メω・`)(…もはや俺の生きる意味はなくなってしまった)

 今日まで、渚本介は擬古成への復讐心のみで生きてきた。
 擬古成を討ち、それを達成させてしまった今、渚本介は何を目的に生きていけばいいのか解らなくなってしまったのだ。

412 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:21:15 ID:bIWJ.cLkO [11/25]
 
 もともと、生きていても仕様がない人生だったと思う。
 生きる理由は絶対の復讐心のみだった。人並みの人生は、とうの昔に捨てていた。

 それなりの覚悟を持って、渚本介は復讐に没頭していたのだ。
 だからこそ、今の渚本介は抜け殻に近い状態だった。

 
(´メω・`)「……」


 旅に付き合ってきてくれたブーンに遺書でも残して、いっそ死んでしまおうか。
 いや、はっきりとした死ぬ理由があるわけではない。
 しかし、これ以上生きる動機も見つからない。

413 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:22:10 ID:bIWJ.cLkO [12/25]
 
(´メωー`)「……」


 目を閉じて、考えることを一時的に止めてみる。
 脳裏によぎったのは、ブーンと過ごした旅路の記憶。
 そして。


(´メω・`)「……!」


 一つの、大きな閃きだった。


 
──

414 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:22:24 ID:bIWJ.cLkO [13/25]
──

 
 翌日。
 ブーンは出麗に頼み込んで、琴の演奏を見せてもらうことになった。

 出麗の琴が聴きたいというのは表向きの理由で、実際は出麗に自分の正体を話してみることが目的なのだが。


(;^ω^)「し、失礼しますお…」
 
 静かな広間に通され、ブーンは用意された座布団によそよそしく座った。
 その先には、琴を構える出麗の姿。

 共に根十城を逃げ回ったとは思えないほど、その姿は美麗なものだった。


(*^ω^)(綺麗だお…)

ζ(゚ー゚*ζ「遅いわよブス」

( ^ω^)

415 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:23:44 ID:bIWJ.cLkO [14/25]
 
ζ(゚ー゚*ζ「始めるわよ」

 
 二人きりの、広い空間。

 静かに張る空気を、出麗の奏でる琴の音が、滑らかに咲き渡った。

 
( ^ω^)「……」

 
 曲名の無い音楽。それでも、ブーンには曲のイメージが伝わった。
 青く広がる草原のような悠々しさ。それらをなびかせる風のような淑やかさ。
 「自然」そのものを表しているような、雄大な曲。
 琴の繊細な旋律で、こうも雄大さを奏でられるのかと驚くほど、それは綺麗な曲だった。

416 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:24:06 ID:bIWJ.cLkO [15/25]
 
 ハーモニックスに近い奏法で音を響かせ、曲はゆっくりと終わった。

 
(*^ω^)「…すごいですお!」

 間違いなく、素晴らしい演奏だった。
 少し顔を赤らめた出麗に対し、ブーンは拍手を送る。

 そして、ブーンはそのまま自らのギターを取り出した。

 
ζ(゚ー゚*ζ「別に嬉しくなんか…ってどうしたの?」

(*^ω^)「セッションに決まってますお!」

ζ(゚ー゚;ζ「殺生…?」


 出麗の演奏で、すっかりテンションの上がったブーン。
 久しぶりにギターを構え、その感触を確かめた後に、出麗に演奏を促した。

417 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:25:17 ID:bIWJ.cLkO [16/25]
 
 訝しげに頷き、出麗が琴を弾き始める。
 その曲のリズムに乗りながら、ブーンがギターを鳴らし始めた。

ζ(゚ー゚*ζ「!」

( ^ω^)「…」


 驚いて顔を上げる出麗に、にやけ面を向けるブーン。
 理解した出麗は、笑顔を見せながら曲調を変えた。

( ^ω^)(おっ?)

 優しい旋律が、弾け飛ぶような明るい旋律へ。
 はしゃぎまわるように琴を奏でる出麗に、ブーンはギターで乗りかかっていく。

418 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:25:39 ID:bIWJ.cLkO [17/25]
 
( ^ω^)(それなら…これはどうだお!)

 これではまるで、セッションではなくギターバトルだ。
 それでもブーンは負けじと曲を仕掛けてみた。

 曲は押尾コータローの「Big Blue Ocean」。
 素早くチューニングをずらし、リズムの主導権を握る。

 ところが、出麗は臆することなく曲に乗ってきた。

 
ζ(゚ー゚*ζ(凄い弾き方ね…)

( ^ω^)(よく琴でついてこれるお…)

 
 心の奥で、互いの実力を認めながら。
 そして、闘争心を表に出しながら。

 二人のセッションは、日が暮れるまで続いた。


──

419 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:26:59 ID:bIWJ.cLkO [18/25]
 
──


ζ(゚ー゚*ζ「せっしょんってなかなか楽しいのね!」

( ^ω^)「だお?音楽はこういう楽しみ方もあるんですお」

 
 夕暮れ。演奏の手が自然に止まり、二人のセッションは幕を閉じた。

 自然と笑顔になっていた二人。
 しかし、すぐに出麗の笑顔がゆっくりと落ちていった。

 
( ^ω^)「…どうしたんですかお?」

ζ(゚ー゚;ζ「あっ、ううん、なんでもないわよブス!」

 
 慌てて琴の手入れを始める出麗。
 それを見て、ブーンは出麗を訪ねた本当の目的をようやく思い出した。

420 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:27:22 ID:bIWJ.cLkO [19/25]
 
(;^ω^)「……」

 
 カミングアウトの覚悟を決めるために、暫く時間をとる。
 琴の手入れの様子をぼーっと眺め、ブーンは突然口を開いた。

 
(;^ω^)「で、出麗さん!」

ζ(゚ー゚;ζ「うわっ、何よ急に」

(;^ω^)「あの、話したいことがあるんですお…」


 それから、ブーンは話を始めた。
 自分は未来から来たこと。その原因は出麗の琴爪にあること。ブーンのタイムスリップに、何か心当たりはないか。

 話を終える頃には、外は暗くなりつつあった。

421 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:29:21 ID:bIWJ.cLkO [20/25]
 

ζ(゚ー゚;ζ「五百年先の未来から…」

( ^ω^)「…そうですお」

 
 信じてもらえるわけがない。
 しかし、出麗は必死のブーンの言葉の意味を理解しようとしている様子だった。

 
ζ(゚ー゚;ζ「…それで、私の琴爪がアンタを此処に連れてきたっていうの?」

(;^ω^)「そ、そうですお」

 
 そう言われてみると、なんとも現実味の無い馬鹿げた話だ。

 それでも、出麗は考えるように顔をしかめた。
 しかし、今度はブーンの話を理解しようという顔ではない。

 何か心当たりがあるような、気難しい顔だった。

422 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:29:47 ID:bIWJ.cLkO [21/25]
 
 やがて、出麗のほうがポツポツと語り始めた。
 

ζ(゚ー゚;ζ「…馬鹿げた話に聞こえるかもしれないけど」

(;^ω^)「なんですかお?」

 
 少し身を乗り出し、話を促すブーン。

 出麗の口から出てきた言葉は、ブーンにとってはかなりの衝撃だった。

 
ζ( ー ;ζ「私、実は…」


 聞いてしまったことを、後悔するほどに。

 

──

423 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:31:22 ID:bIWJ.cLkO [22/25]
 
──

 
(´メω・`)「探したぞブーン」

( ^ω^)「…お、渚本介さん」

 
 先日のように、ブーンは物見台で寝転んでいた。

 出麗と話をした数時間後。
 何もする気になれず、ただ夜空を眺めていたところを、渚本介が見つけたのだ。

 
(´メω・`)「一体何をしてるんだ。そろそろ飯の時間だぞ」

( ^ω^)「すみませんお…」

424 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:31:38 ID:bIWJ.cLkO [23/25]
 
 何やら落ち込んでいる様子のブーン。
 気だるそうに立ち上がるその姿に、渚本介は口を開いた。

 
(´メω・`)「…実はブーン、頼みがあるんだ」

( ^ω^)「お?」


 予想外の言葉に、きょとんとした顔を向ける。

 そう、渚本介は別に飯を食わせるためにブーンを探していたわけではない。
 自らの人生の続き。その決心を告げるために、そしてその手伝いを頼むために、渚本介はブーンのもとに来たのだ。

 
(´メω・`)「俺は復讐を遂げ、人生に意味を無くしてしまった。だから、新しい道を歩むつもりだ」

426 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/04/27(水) 23:33:12 ID:bIWJ.cLkO [24/25]
 
(´メω・`)「新たな人生、そのためにはお前の力が必要なのだ」

( ^ω^)「?」

(´メω・`)「お前が元の時代に帰るまでの間でいい。どうか頼まれてくれ」

 
 それだけ言い切ると、渚本介はブーンに頭を下げた。
 慌てて顔を上げさせ、ブーンは渚本介の頼みというものを聞くことにした。

 その言葉は、またもブーンに衝撃を与えるものだった。

 

(´メω・`)「俺にぎたーを教えてくれ」


( ^ω^)



( ^ω^)「……………え」


(;゚ω゚)「えええええええええええええええ!!!!!???」
 

 
第十二話 終





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コメント

おつ
  1. 2011/05/13(金) 22:18:00 |
  2. URL |
  3.   #-
  4. [ 編集 ]
乙。前回の流れからてっきり最終回と思ってた
  1. 2011/05/15(日) 21:45:17 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

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