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( ^ω^)あいむNOTあDEADぼでぃーのようです 12 2011年02月23日 ( ^ω^)あいむNOTあDEADぼでぃーのようです トラックバック:0コメント:0


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:25:02.78 ID:YvPOEHBR0


赤子の時、彼はあまりに笑わない子だった。

夜泣きも滅多になく、脳の一部に異常があるのではないかと危惧される程だった。

1歳の頃、彼は言語を完全に理解した。
そんな彼を他の人間は神童と崇め、様々な英才教育を施すよう勧めたが、父親は断固としてそれを認めなかった。
生まれる前から決められていた父の教育方針に従って育っていくことになる。
もしもここで誰かが無理やりにでも父の暴走を止められたのならば、彼の行く末も変わっていただろう。

3歳の頃、初めて与えられた父親からのプレゼント。
玩具と称して渡されたそれは、確かな切れ味を持ち、銀の煌めきを放つナイフだった。

彼は、ナイフを前に、初めて『美しい』と思う感情に芽生えた。
既に悪魔になるだけの片鱗を示していたのかもしれない。

そして、とある日のこと、彼はそのナイフで怪我を負うことになる。
まだ刃物が危険だと知らなかった彼は、その刃への興味のあまり、自らの腕に押しつけたのだ。

止めどなく溢れる血液、激痛を伴ったことだろう。
しかし、彼は一切涙を流さず、それどころか、その体躯を赤く染めながら満面の笑みを浮かべていた。
無邪気とは程遠い場所にいた筈なのに、この時は声を上げ、今までの鬱憤を晴らすかのように笑った。
彼の頭が狂ってしまったのだと嘆く者が殆どであったが、父だけはそんな彼を優しく抱きしめた。

その時彼に芽生えた新たな感情は、『快楽』であった。
人生のスタートライン付近にも関わらず、彼はこの世で一番の悦びを知ってしまったのであった。



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:27:06.25 ID:YvPOEHBR0


5歳の頃、人間を殺した。
その年の父からの誕生日プレゼントは、縄で縛られた人体だった。

父は言った『そのナイフでこれをバラバラにしてみせろ』と。
彼には人を殺す事が悪事だという常識がなかったので、何の疑問も持たず、首を縦に振って応えた。

無表情を保ったまま、彼はその人間の体を切り刻んでいった。
耳を削ぎ取り、指を切断し、血を飛び散らせ、目玉をくり抜き……細かなパーツを分けた後、四肢を分割した。
案外呆気なく終わってしまった解剖に満足いかない様子で溜め息をつくと、父親が指をパチリと鳴らした。
すると運ばれてくる新たなモルモット、彼は喜々としてそれに飛び付き、思う存分ナイフを振るった。

7歳の頃、仕事を始めた。
所謂、暗殺業であったが、彼の子供という外見はその仕事に大いに役立つことになる。
ターゲットとなる誰もが、いたいけな少年に命を狙われている等とは微塵も思わず、頸動脈を切られてからようやく事実に気付く。
しかしその時にはもう遅い、そのように致命傷を負った彼らは、体力の消耗が同時に命のカウントダウンとなる。

最後の最後まで『こんな子供に……』と怨みを重ね、現実を理解しきれないまま死を迎える。
彼は、その様子をやはり楽しそうに眺め、自分は人間を超越した人間であると、優越感に浸っていた。

当然、学校といった類のものに、父は彼を通わせようとはしなかった。
無論、ある程度の教養は施したし、元神童である彼には、勉学などテキストを読み通すだけで充分過ぎた。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:30:45.97 ID:YvPOEHBR0


10歳の頃、とうとう父親を殺した。
それが彼の人生の絶頂であり、同時に人生の終焉に近いものだった。

直観的に感じてしまったのだ『これより先、今以上の快楽を得ることは出来ない』と。
十年で、彼は世界の全てを見終わったかのような喪失感に苛まれ、自決を図ろうかとまで悩んだ。

しかしそれを思い留まらせたのは、他でもない父の言葉である。
彼は父の書斎を片づけている時、自分宛と思われる便箋を見つけ、読み進めた。
便箋の中身は、今までの憂いを吹き飛ばすかのようなものであった。
よって彼は歓喜に震え、街へと繰り出した。

その日、彼は仕事とは一切関係のない、快楽の為だけの殺人を犯していった。
何人殺しても満足しきれず、結局、手持ちのナイフ全てが血と脂に塗れて使いものにならなくなるまで殺戮を楽しんだ。
犠牲者は30を超えていたと後日のニュースでやっていたが、過ぎ行く過去など、興味の対象にはならなかった。

それから、彼は今まで通り『殺し屋』として生きることにした。
本名で仕事を続けているのは自信の表れであり、名を知られようと誰にも自分は止められないという意味合いがある。
もちろん、その一方では楽しむためだけに殺しを行う、快楽殺人鬼としての一面も持っていた。

これが彼―――マス=ワカッテの少年時代の歴史である。



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:32:41.35 ID:YvPOEHBR0


マス=ワカッテという名がそこそこ知れ渡って来た頃、彼は成熟しきっていた。
『少年』という羊の皮は被れなくなったものの、堂々と仕事をしようが、不安材料の欠片も見出せない。

誰も彼を止められなかった。
過ぎた存在だと恐れた同業者は、彼を躾けようと刺客を送り込む。
しかし完全武装した男たち数十人がかりすら一蹴された時、同業者たちも諦めの色を見せた。

そして、別の方法によって利用することにした。
それは彼を裏の業界の象徴代わりにするというものであった。

『何事にも縛られず、殺戮をこの世の生甲斐とする快楽殺人者』

この様な銘を打たれて、マス=ワカッテの名は更に広められていく。
段々と凶悪犯罪者の影に脅える者が増え始め、平穏な日常は脆くも崩れ去った。
例えば、不安のあまり現実逃避を目論む若者たちを中心に、ドラッグが蔓延していった。
護身用の域を超えた重火器が、不当なルートを辿って販売された。

つまり、彼は裏の業界のマスコットとして扱われたのである。

恐怖に染まった混沌の世界は、マフィアなどの存在にとって居心地の良いものだった。

もっとも、彼はこの事態を不快に思う訳ではなく、むしろその逆の心持でいた。
まるで世界が自分を中心に回っているかのように感じ、気分良く、狂い出す世界を達観していたのだ。

彼の伝説は、こうして作り上げられたのである。



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:36:42.99 ID:YvPOEHBR0


「今日も世界は平和だなぁ」

昼下がりの午後、近年増加する犯罪数のグラフを見ながら彼は言った。
テレビ内のニュースキャスターとはまるで相反する台詞であったが、心の底からそう思っていた。

彼の胸を高鳴らせるような事件が起きない限り、その気持ちに変化が訪れることはない。
もっともその程度に至る事件など、これまで起きることはなかったし、これからも無いだろうと予測する。
自分を満足させられるのは、自分以外にはいないのだというのが彼の持論だった。
唯一、世間も自身の心も満足させることの出来る、世界一のエンターテイナーだと自負しきっていたのだ。


―――その時、テレビの向こう側が暴れるようにざわついた。


キャスターを含めた局の人間が慌ただしく情報を確認し始めている。
その尋常でない様子に、彼も思わず画面に食い入ってしまった。

キャスターは落ち着きを取り戻すと、一呼吸置いてから言葉を紡ぎだした。


「たった今入った情報によりますと、先刻、同時爆破テロが起きた模様です。
 被害となったのは『シューマン発ヤオイ行の、ONEピース機』。

 『VIPのリンゴタワー』、『オオカミのモムスドーム』。
 明確な被害状況はいずれも不明ですが、そのどれもが壊滅的な被害を負っており、現場はまるで地獄絵図と―――」


ニュースは尚も続けられていたが、そこに新たな情報が加えられた。



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:39:17.30 ID:YvPOEHBR0


「……え? これ、本当に……? いやでも……」

唯、キャスターの表情は困惑に満ちていて、テレビには滑稽な姿が曝され続けていた。
プロとしてあるまじき失態だが、この未曽有の事態の前では、それも大目に見られることだろう。
やがて半ば無理やりにでも上司に納得させられたのか、キャスターは重たい口を開いた。


「えー……どうやら先日、局に犯行予告と思われる手紙が届いていたそうです。
 内容は――

『退屈で仕方がないので、爆弾を沢山沢山爆発させようと思います。
 どうか皆さん、死にまくってください、生き残った人がいたら、とても残念です』

 ――などという文から始まる、あまりにふざけた内容で綴られており、局側としては性質の悪い悪戯だと判断していました。
 しかし、手紙の最後に今回事件の起きた地名が並べられており、これは紛れもなく犯人からの手紙だと推測されます。
 更に付け加えるのであれば……こ、今回起きた事件は個人の気まぐれによって引き起こされたものであり、
 テロと呼べるものではなく……一個人が引き起こした大量殺人として扱われるものと思われます」


キャスターの語る話は、まるで夢物語であった。
推定でも五百は下らない命を一瞬で奪い去った事件の犯人がたった一人であり、目的はほぼ無いとまで言うのだ。

局には様々な理由での抗議の電話が殺到していたが、
そんな事実など知る由もなく、マスは言いようのない気持ちに駆られてテレビの電源をオフにした。



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:40:50.51 ID:YvPOEHBR0


胸がムカムカするのと同時に、顔が自然と緩んでいく。
正体不明の感情の最中で、彼は自然と言葉を吐き出し始めていた。


「誰だ誰だ誰だ誰だダレダダレダダレダヨ、誰なんだよ、俺よりも殺し、てる? のか?
 なんだよ、俺を舐めてるのかよ、畜生、俺を愛してるのか、世界で一番フォーリンラブか?

 俺をいらつかせたいのかよ、俺の心を満たしたいのかよ、どっちだ、どっちもか?
 ……嫌だ、俺の方が殺す、お前なんかには負けねぇ、お前を殺す、すぐ殺す、絶対殺す。
 
 ムカツクムカツク、ウレシイウレシイ、カナシイカナシイ。
 俺は誰だ、俺はマス=ワカッテだ、誰よりも強く、誰よりも狂って、クルッテマワッテ―――?」


息継ぎもしないまま支離滅裂な言葉を口に出した後、地面にばたりと倒れ込んだ。
テレビを見終わってからずっと、高速で回転し続けていた為、すっかり酔ってしまったのだ。

彼を混乱に陥らせたものは、その時初めて芽生えた感情である『嫉妬』と『愛』と『憎しみ』と―――

その他様々な感情が、一挙に押し寄せてきたのだ。
殺し屋として異常な日常を当然として生きてきた彼にとって、それらは未知数のものだった。
初めて訪れる不思議な感覚に、彼の思考回路はショート寸前だった。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:42:28.64 ID:YvPOEHBR0


そのまま睡眠に陥った彼が目覚めた時、視界は漆黒に染まっていた。
それは単に夜が訪れたからなのであるが、それすら理解出来ずに横になったまま呆けていた。

彼はその暗闇を、自分という名の宇宙であると判断した。

宇宙に溶け込むと、驚くほど滑らかに考えが纏まっていく。
熱くなっていた脳は程良く冷まされ、そうしてある答えが生まれた。


「当分の人生の目標決定。
 あの忌々しいクソ野郎をバラバラにして、ミンチにして……それから愛を語ろう。
 お礼を言わなくちゃ、初めて『生きたまま』俺を楽しませてくれた人間なんだから」


それが、彼が冷静になった頭で導き出した結論だった。
常人からすればぶっ飛んでいる思考であったが、彼はスッキリとした心持で立ち上がった。

そして、歌い、踊り狂った。
マス=ワカッテが一つ人間に近付き、また、更なる狂気に芽生えた記念すべき一日だった。



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:46:05.23 ID:YvPOEHBR0


そんなプロローグから俺の人生は始まる。
そう、俺の伝説はまだまだ始まったばかりだ、今もショーの真っ最中。

街を散歩するという至って平凡な行為さえ、俺にかかれば素敵なものに早変わり。
人間の血で真っ赤な絨毯を作ったっていい、悲鳴のオーケストラを響かせるのも一興。
俺には何だって出来る、何故なら『最強』『最狂』『最凶』が具現化された存在だからだ。

しかし、あえて俺は普通に、散歩する。

人外の存在が普通に街を闊歩する―――それこそが一番の狂気だ、間違いない。


(*<●><●>)「うはっはっはっ、見ろよ、人がまるでゴミのようだ!
       違うね、人はゴミなんだ、虫けら以下の屑共、てめぇらはそれ以外の何者でもねぇ!!

       でもそんなお前らに生存を許す優しさと慈悲深さ、素晴らしいだろ、平伏せ!!
       見ろ、俺が回ると世界も回る、つまりこの世界は俺を中心に回る、恨むなら神様の贔屓っぷりを恨め!!」


VIPの街全体に轟かせるかのように吠えた。
脅えきった――もしくは輝きに堪えられくなった――愚民共は、俺を避け始め、周囲に空虚な空間が出来上がる。

まるでモーゼだ、これは俺が引き起こした奇跡だ。
奇跡すらも自由自在に操れる……ひょっとしたら俺の存在こそが奇跡なのではないか?



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:48:12.13 ID:YvPOEHBR0


( <●><●>)「……おうおうおう?」


しかし、俺の作り上げた奇跡の空間に一人の女が立ち塞がった。
人の波に呑まれない俺と女の二人は、まるで世界に隔離されたかのようだ。

顔を伏せていて表情が見えなかった為、俺は最初、女が泣いているものだと勘違いした。
女の体はがたがたと震えていたし、両の手は左胸の辺りを押さえていて―――体調が悪いなら死ねば楽になるぞと提案したかった。


そして、ガン無視することに決めた俺が一歩踏み出すと、唐突に女の震えが治まった。

ゆっくりと顔を上げ始めると、やがてその表情を確認することが出来た。




ξ゚∀゚)ξ




女――マッドボマーは、嗤っていた。

俺の心臓は急激に高鳴った。



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:51:11.91 ID:YvPOEHBR0


マッドボマーこと、ツン=デレイド=クヴァニル。

俺が唯一尊敬し、俺に唯一屈辱を与えてくれた人間よ。
お前さえ殺せば、世界は俺のものになる、世界の頂点に立つことが出来る、

全身全霊を持って殺しに来い、それを超えてこそ、俺の力は何物をも凌駕すると証明出来る。


父を殺した時以上の快楽は確実に訪れる。
俺は人生の最高潮まで上り詰める波に乗ってやる。

お前の生きていた意味は、俺を楽しませる為だけにあったのだ。


ξ゚∀゚)ξ「―――さぁ、遊ぼうかぁ!」


( <●><●>)「―――さぁ、遊ぼうかぁ!」



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:53:36.48 ID:YvPOEHBR0









第十二話『遊びに誘う声に振り向くと、死神が満面に笑みを湛えていた』










28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:54:57.11 ID:YvPOEHBR0


ツンは初めに小型の爆弾をばら撒いた。
金貨サイズの火薬玉はマスの足元で爆ぜ、僅かに行動を封じ込める。
そのほぼ一瞬の隙にツンは駆け寄り、加速の勢いを乗せたダガーを繰り出した。

金属音。

咄嗟の所でマスのククリはダガーを受け止めることに成功し、二つはそのまま空間に固定される。

しかし均衡する時間は一秒にも満たない。
ツンは手に込めた力の角度を変え、ダガーの位置をずらし、ククリを刃上で滑らし受け流す。
力の行き場を失ったマスは体勢を崩しかけたが、即座に持ち直し、飛び退いて距離を取った。


( <●><●>)「おおう驚いた、マインゴーシュみたいな使い方するんだな。
       ……ていうか、あれ、そのナイフ前と違くね、何かでかくね??」

ξ゚∀゚)ξ「適当な店で盗って来たんですよぉ、骨ごとぶった切れるようなのが欲しくって!」

(*<●><●>)「二、三日前の強盗殺人事件の犯人はやっぱお前か! うひゃひゃうっけるー!」


マインゴーシュとは、鍔の部分が刀身に向けて垂直でなく、カギ爪状になっているナイフ。
これは本来、利き手とは反対の手に持ち、相手の攻撃を受け流す為に用いられるもの。

ツンの持っているものは普通のダガーである――つまり完全に技術のみで受け流しを可能にしたのだ。
繊細かつ思い切りのいる達人級の所業であったが、マスは軽く感心する程度だった。



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:57:08.07 ID:YvPOEHBR0


(*<●><●>)「良いねぇ、前よりずっといい、百万倍も美しいッ!!」

ξ゚∀゚)ξ「何言ってるんですかぁ、私はいつだって女神級に美しいですよぉ!」


自身を誉めたたえながらナイフを振り回す女の表情は、およそ美しいとは言い難く、
大抵の人間は一見しただけで恐れを抱くほどのものだった。

しかし、それを目前で眺めるマス、彼はそれを確かに『美』であると認めていた。
狂気に染まる瞳を浮かべ殺しかかってくる女に、『愛』に近い感情を抱いていたのだ。


(*<●><●>)「本当に良いよぉ……ああ、犯してやりたい……。
       殺した後ぉ……内臓を捏ね繰り回しながらぁ……交わりあいたいなぁ……!」


一撃必殺の威力を十分に秘めた斬撃の嵐の中、マスはそんな事を呟いていた。
ツンの耳にもその言葉は届いていたが、反応するのも馬鹿馬鹿しいと判断し、ただ無情に切りかかる。

それはより一層マスの興奮を高め、ボルテージは着実に上がっていく。
気持ちの高ぶりが限界付近に達しようかという頃、ようやくマスも反撃に打って出た。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 20:59:48.78 ID:YvPOEHBR0


ξ゚∀゚)ξ「死ねぇッ!」


( <●><●>)「死ねぇッ!」


その攻防を一言で言い表すとしたら、『異常』であった。
そもそも攻防と呼んで良いのかすら疑問である、彼らの脳裏には守るという概念は存在しないのかもしれない。

攻撃の一つ一つは単調であり、予備動作も大きく、テレフォンパンチに近いものがあるだろう。
成長と共に隙を極限まで減らしていくナイフ使いたちにとって、その光景はあまりにも無様だ。

―――しかし、疾い。

大袈裟な動作から繰り出されるナイフは、トップスピード地点で不可視の一撃に姿を変える。

互いの攻撃の最中、瞬間的にナイフが視界から消え去る様子は、
断片的にしか再生されない映像となり、まるで拙い作画のアニメーションのようだった。

そう、彼等は『殺傷』ではなく、『破壊』を目的にしているのだ。
罵声を浴びせ合いながら、威力のみに重視した斬撃を繰り出し、相手を無残な姿に変えることだけを願う。
ツンとギリシアが戦った時のような優雅さはまるでなく、あるのは醜さと憎悪と、そして一欠けらの愛だけ。

死と隣り合わせという言葉も似合わず、その場はまさしく地獄であった。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:02:29.08 ID:YvPOEHBR0


(*<●><●>)「最高だぁ! 楽しいよ、楽しくて笑いが止まらないよ!!
       死んでしまえよ、そして殺してくれよ、永久の快楽を俺に与えてくれよ!!」

ξ゚∀゚)ξ「私の玩具を奪っておいて、何かを貰おうなんて図図しいんですよぉ!!」


マスが風切り音を響かせながら切りかかれば、回避と共にツンの攻撃動作が始まっている。
呼吸の間を置く音すらなく、唯只管に互いのナイフが振り回されていく。
狂気に満ちた二人の攻防であるにも関わらず、精密さは失われず、どれもが正確な狙いを保っていた。
死神でさえも困惑してしまう光景、最早二人自身が死神というのが言い得て妙である。


( <●><●>)「玩具ぅ!? なんだそりゃあ、全くしらねー!!」

ξ゚∀゚)ξ「知る必要なんかないです! 
      必要はないですけど……それでも貴方がいては邪魔になる!!」

( <●><●>)「勝手だなぁ、だがそれが良い!
       理不尽な理論を無理矢理押し通すのが俺達みたいな人種のやることだよなぁ!」


ほぼ無酸素運動に近い攻防は尚も続く。
弧を描く横薙ぎを伏せてかわし、上下から繰り出される直線軌道を体勢をずらして避ける。
そのどれもが両者共に行われた行動であり、個人に限定することは出来ない。

思想から『遊び』の方法まで同一、それは―――彼らが似通った存在であると証明していた。



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:05:09.41 ID:YvPOEHBR0


その時、それまでは決して離れることのなかった距離が、唐突に開かれた。

バックステップを用いたのはツンだった。
まるで意図を掴めないマスは少しばかりの混乱を覚え、追従せずその場に佇む。

ツンは先程までとは一転して、か細い声で語り始めた。


ξ ∀ )ξ「一度は投げ捨てました、いいえ逃げました、それで何とか私は私を守りました。
      でも、それは一時的なものでした、みんな私を馬鹿にするんです、逃げた逃げたと嘲笑うんです」

( <●><●>)「……あー?」

ξ ∀ )ξ「これ以上一人でいると私は壊れてしまう、そんなのは絶対に嫌だ。
      けど私と一緒にいて大丈夫なのはあの玩具だけなんです、他の物では脆過ぎる。
    
      そして私は言ってしまった『貴方を守る』と、私は強くないと玩具と一緒にいることを許されない。
      だから貴方を倒さないといけない、お前は邪魔だ、屑は消え失せろ、死ね死ね死ね死ね死ね……!!」

( <●><●>)「何だそりゃ、しかし随分と人間っぽく見えるぜ。
       かぁいいなぁ、おい! 恋する乙女みたいな顔しやがって!」


実際は怨念渦巻く瞳をツンは携えていたが、マスには全く違うものに見えていたらしい。
理解不明の讃辞を送りながら、軽口を叩いていた。



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:08:02.55 ID:YvPOEHBR0


ξ゚∀゚)ξ「もう一度強くある事を証明するために!! 
      私は貴方を殺す、バラバラに引き裂いてもまだ殺す!!
   
      火薬と混ぜ合わせて、マス爆弾にでもしまょうか!?
      貴方と私のブランドが混ざり合って、良い値で売れるでしょうよ!!」


ふざけた言葉を吐き捨てると同時、ツンは再び前に出る。
力の籠ったダガーの威力は健在で、更に鋭さを増しているかのようにすら思える。


(*<●><●>)「良いなぁそれ、俺達の子供って感じじゃん、それって素敵やん?
       なぁんてどうでもいい、よく分からんかったが、さっきのはお前の身の上話ってやつだったんだな?」


しかし、マスはそれらの斬撃を容易く捌いていく。
紙一重の所で避けられているのは、決して惜しいからではない。
常人ならば目で追う事の出来ないナイフでさえも、完璧に見切っているのだ。

更に回避だけではない、ククリを用いて防御されたかと思えば、ダガーは刃上を滑らされる。
これはツンの見せた『受け流し』である。

驚くべきは、マスはそれを今初めてやってみせたということなのである。
吸収したのだ、他人の技術を、この生と死の狭間の真っ只中で。

―――かつて神童と呼ばれた男は、その類稀なる才能を十分に発揮していた。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:10:46.22 ID:YvPOEHBR0


( <●><●>)「それなら今度は俺の番か……そうだな、俺は親に褒められたことがなかった」

ツンは言葉を耳に入れるだけで、ほぼ聞き流す状態にあった。
集中していたこともある、僅かなミスも許されない場なのだから当然。


( <●><●>)「これはもちろん自慢だが、俺は超が付く程の天才だった。
       だけども親父は俺を褒めない、母さんは俺が生まれた時に死んでた」

ただ、それ以上にマスの考えに僅かな恐怖を抱いていたのが大きな要因だった。
油断している訳でもないのに軽口を吐き続ける意図を汲み取れなかったのだ。


( <●><●>) 「んでだ、10歳の頃、俺は親父を殺した。
       殺せるものなら殺してみろって言われたからな、ちょっとムッとして殺してやった。
   
       俺はその頃から無敵だった、親父も強かったけど、俺はあまりにも強過ぎた。
       それまで絶対的な強者として存在していた親父を殺したらな、最高の快感が訪れたもんだよ」


また、その意図を知り、理解してしまった時、深い闇に飲み込まれるかのような怖れを抱いていた。

本質的な部分で似通った存在であるツンとマス。
しかし、その上に積み重なった人生経験による差が、今ようやく浮き出ようとしていた。



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:13:10.96 ID:YvPOEHBR0


( <●><●>) 「それから暫く経ったある日のこと、俺は親父からの手紙を見付けた。
       その内容にはえらく感動したもんだよ……聞きたいか、聞きたかったら返事を頂戴な?」

マスは、無視されていることに気付いていたようだった。
知らない方が良いとは思いつつも、好奇心には逆らえず、ツンは攻防の間に首を縦に振る動作を加えた。


( <●><●>) 「『よくやったなマス、流石俺の息子だ。
        これからも殺して殺して殺しまくれ、お前にはそれしかない』
    
        ……手紙にはそう書いてあった、たったそれだけ、殆ど空白の手紙だったさ」


全くもって淡白な内容である
結局その親すらも狂人だったのだろう、まるで息子に殺されたがっていたみたいだ。

一通りの感想を心中で終えると、ツンはまた更なる斬撃を生み出していく。
自らの過去を語るマスはどこか神妙になり、先ほどまでの威勢を感じさせない。

いける、と思った。

集中しきれていない、手に込められた力が僅かに緩められている。
この瞬間、全力の一打を放てばククリを吹っ飛ばすことが出来ると、確信した。

そして放つ、正真正銘、一撃必殺の不可視の刃―――



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:14:56.49 ID:YvPOEHBR0


( <●><●>)「だが、俺は初めて親父に褒められたんだ!!」


その時鳴り響いた金属音は、この戦闘中最大のものだった。
だからといって意味はなく、もしあるとするならば、ツンのダガーが受け止められたと示すくらいのものだった。


( <●><●>)「嬉しかった……嬉しくて……嬉しくて、嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて
       
       嬉しくて嬉しくてウレシクテウレシクテウレシクテウレシクテウレシクテウレシクテ
       
       ウレシクテウレシクテウレシクテウレシクテウレシクテウレシクテェエエェえええええええ――――!!」


驚愕に目を見開くツンを余所に、マスは数歩分の距離を広げる。
何故その様な行為をしたのか分からず、更に混乱していくツン。


(#<●><●>)「この世界の人間全員ッ!! 
      
       ぶっ殺してやるって決めたんだよォォおおおオオオオォヲヲヲヲヲヲッッ!!」


雄叫びと共に、横薙ぎの一線を描こうとするマス。
ククリの射程圏内からは遠く外れていて、それは間違いなく空振りに終わるはずだった。

しかし、その意図をツンが把握した時―――全ては手遅れだった。
  


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:18:16.43 ID:YvPOEHBR0


時が、酷くスロウなものへと変貌する。


………ッ!!


ツンの瞳に映ったものは、回転しながら飛来するククリの姿。

湾曲した刀身を持ったククリが回る。
それはつまり、切れ味の良い鋼鉄製のブーメランが放たれたのと同義だった。


伏せる――間に合わない。

サイドステップ――避けきれない。

バックステップ――逃げ切れない。


回避不可の状況、確実に距離を縮めていくククリ。


どうする?

……信じろ、自分自身を。


振り上げろ―――手に持ったダガーを。



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:19:46.66 ID:YvPOEHBR0


右手に持った大型のダガーを、飛来するククリに向って下方から振り上げる。

衝撃、同時に金属音。
右手から全身が麻痺するかのような痺れが伝わる。

弾かれたククリ、そして同じく手元から離れるダガー。


やった……か?


……いや、まだだ!!


視線の先には、疾風の如く駆け抜けるマス=ワカッテの姿。
手には当然何も握られていない、どうやら素手での戦いを挑むらしい。

身体は、未だ今の衝撃と恐怖で硬直している。

早く解放されろ、動け!

でも、どうする、こちらには何も――


そこでふと思い出す。
今まで戦闘に使っていたダガーとは別に、もう一本携えていたダガーの存在。

ブーン=マストレイの、ダガー。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:21:23.93 ID:YvPOEHBR0


ようやく呪縛から解放された体。
しかし寸前にまで迫っているマス=ワカッテ。

その危機的状況下で、ツン=デレイド=クヴァニルの体は目的を遂行するよう迅速に働く。

一切無駄のない滑らかな動きで左の腰元のダガーを抜き取った。


マスはその動きを確認するも、既に攻撃動作に入った体は止められない。
それに合わせるかのようにツンは腕をしならせる。


左手に持ったダガーから描かれる、弧を描く曲線。

マスの首筋へと向かう軌道。

これまでと一線を画した、速さに重点を置いた斬撃。


……勝った!


―――そして、見事に『それ』は切り裂かれたのだ。



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:23:34.62 ID:YvPOEHBR0


……え?


ダガーに切り付けられた『それ』は無残な姿となり、空へと浮かびあがった。

『それ』とは、マスに着衣されるパーカーの『フード』。


―――マスは顔を伏せることで回避に成功していた。


ならば、次はどうなる。

マス=ワカッテは今、眼前にいるではないか。

私は、私は……?


世界は尚もゆっくりと回っていた。

そのスローモーションな世界で、ツンは左側に強烈な気配を感じた。

視線すらも鈍くなっていたが、ようやく見えたその先には――



無情にも、マスの右手の拳が迫ってきていたのだ。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:26:51.80 ID:YvPOEHBR0


ツンの頬に拳が触れると同時、世界は本来の速度を取り戻した。
衝撃に体は数メートル吹き飛ばされ、激痛に思考を奪い取られる。


(*<●><●>)「俺すげぇえええ!! 自画自賛? いやいや、今のは褒められないとマズイっしょー!!」


マスが自賛する通り、確かにその光景を第三者が目にしたのならば、感嘆に体を震わせるのは間違いなかった。
ツンの繰り出した左手のダガーに対し、マスは右拳を突き出し―――見事、クロスカウンターをかましてみせたのだ。
芸術の一打であったと言っても良い、それはこの常軌を逸した戦いの締め括りには相応しかった。


(*<●><●>)「HAPPYENDだぜぃ、これだから人生っていうゲームは面白い!
       ていうか俺ってチート? ていうかバグぅ!? 最早世界というシステムを俺は超えたね!!」


マスは倒れ込んだツンに近付きながら、自らを讃えるコメントを並べていく。
しかしそのどれもが、実力に裏付けされたものであり、世迷い言であるとも言えなかった。

ξ; ⊿ )ξ「………あッ……くぅ……」

ツンは近付いてくる男を前に、絶対的な恐怖に襲われていた。
逃げろ逃げろと全細胞に命令を出すも、軽い脳振盪に動きを封じられている。
マスの影がツンの体に落ちた時、恐怖はピークに達した。



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:30:30.79 ID:YvPOEHBR0


ξ; ⊿ )ξ「……助け……てッ……」

( <●><●>) 「おおう? それなら助けてやろうかい?」

助けを懇願する言葉に対し、マスは優しくそう答えた。
しかし、ツンにはそれがどうしても慈悲の言葉には聞こえず、恐怖が加速するばかりだった。

そして―――


( <●><●>)「おらぁッ!!」

がん。

マスは、ツンの髪に手を掛け引き上げると、勢いよく地面に降下させた。
鈍い音を響かせ、コンクリートに打ちつけられた額は割れ、だらだらと血液が滴り始める。


( <●><●>)「おらッ! オラッ! オラおらおらおらおらおらおらおらッッ!!」

がん、がん、がんがんがんがんがんがんがんがんがんがん。


マスの怒声に合わせ、規則的な間隔を空けて音は鳴り続ける。
赤い斑点が辺りに飛び散り始め、ツンの顔も、既に赤く塗り替えられている。

それでも、マスは一向にその残虐な行いを止めようとはしなかった。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:33:44.46 ID:YvPOEHBR0


( <●><●>)「死ねばさぁ、助かるんだよ!!
       全てから解放される、良かったなぁ、人生の鎖から解放されて!!
   
       でも、俺は羨ましくない、何でか分かるか、分からない? え、おい!?
       俺はよぉ、鎖を体に巻きつけて、それでも止まらねぇ自分が大好きなんだよ!!」

その言葉の最中にも、マスは餅でも搗くかのように、ツンの頭を振り下ろす。
衝突音に混じって、ぬちゃりと糸を引く音が聞こえ始めている。
ツンの意識は既に無い。 皮肉にもそれに伴って恐怖を抱く心は失われていた。


( <●><●>)「お前と俺との違いは、男と女、そして生き様だ。
       俺の人生は伝説だ、毎日がスリリングでハッピーライフなんだよ!
       確かにお前は惜しい存在だったが、やはり俺が最強であるという事実は誰にも覆せん!!」

 
マスがそうしてその場から離れたのは、ツンを解放したからではない。
終わりにしようとしているのだ―――投げられ、路上に落ちたククリを拾いに行ったのだ。

言った通り、ツンを人生という鎖から『解放』しようとしているのだ。



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:36:18.10 ID:YvPOEHBR0


( <●><●>)「―――あ?」


そして、嬉々としてククリを拾ったマスは、違和感に襲われた。


気配。

折角の楽しみに水を差され、苛立ちを覚えながら振り返る。


暴行に夢中になっていたせいか、すぐ傍にまでやって来ていた人影に気づかなかった。
影はツンをその腕に抱き抱え、こちらに視線を送っているように思える。

太陽の逆光に眩み、ほんの僅かに影が何者であるかを判断できなかった。
光に目が慣れるにつれ、徐々に、そして確実に露わになっていく正体。



ツンを抱きかかえていた影とは―――



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:37:40.97 ID:YvPOEHBR0


ヒートの熱が冷めたのは、それから一週間ほど経ってからのことだった。


その日、カーテンの隙間から差し込む陽光に目を覚ました俺は、隣で眠るヒートの額に手をかざす。
すると、それまでの高熱が嘘のようであり、むしろひんやりと感じるほどだった。
体調が良くなったのだなと安堵した俺は、微笑みを浮かべながらベッドを後にした。


('A`)「まぁ、病み上がりだし、暫くはこの街でだらだらしてよっかなぁー」


眠気覚ましの意を込めて体中あちこちを伸ばし、今後の予定を脳内で組み立てる。
ヒートが完全に調子を取り戻すまでは、のんびりとするのが良いだろう、どうせ行く当てもない。

それに、この安宿も過ごし続けていたせいか、愛着が湧いてしまっている。
そんな気分に陥ってしまうのは、きっと、帰る家を持たない俺のホームシックのせいなのだろう。

しかし慣れきったここでの生活を捨てるのは、確かに億劫に感じざるを得なかった。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:39:27.59 ID:YvPOEHBR0


('A`)「ああ、腹減ったなぁ」

普段通りの朝は、窓際の椅子に腰掛け、ラジオを聞くことから始まる。
宿屋の主人の決めた朝食の時間よりも早く目が覚めてしまう為、良い暇潰しになるのだ。
また、茶色くゴツゴツしたラジオが受け取る電波は、滅多に外に出ない俺の、唯一の情報源になるのだった。


('A`)「……後で、ヒートの好きなメロンでも買ってきてやろうかな」

ささやかな復帰祝いをしてやろう。
俺もメロン好きだし、ちょっとぐらい奮発したって誰も文句は言わないさ。


そんな浮かれた考えに心を奪われ、俺は大事なことを見落としていた。

それに気付いたのは、取り返しがつかなくなってからだった。

過去に戻れるのだとしたら、俺はその時の自分をぶん殴ってやりたい。
そうした所で無駄なのは分かっているが、理屈じゃない憎しみがある、行き場のない怒りがある。


―――なぁドクオ=サンライズ、熟睡しているヒートが静かなのは、一体どうしてなのか分かるか?

―――いつもの様な、五月蠅いくらいの寝言が聞こえないのは、一体どうしてなのか分かるか?



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:41:33.66 ID:YvPOEHBR0


その答えを当時の俺は知る由もなかった。



しかし、直後に気付かされる。


そして、後悔と絶望の海に沈む。




ヒートの熱は無くなった―――と同時に、二度と目を覚ます事もなかった。




ラジオからは、街を騒がす流行病の情報が、延々と流れ続けていた。



―――The story might continue



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 21:42:50.68 ID:YvPOEHBR0


ツン=デレイド=クヴァニルは初めて恐怖を体感する。
マス=ワカッテはお気に入りのパーカのフードが破れたのが少しショック。
ドクオ=サンライズの笑顔は絶望によって蝕まれた。



お疲れ様です。
ありがとうございます。
ここさえ終われば
ここさえ終われば!
今日は終わりです。
それでは。
また。





( ^ω^)あいむNOTあDEADぼでぃーのようです 13
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