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( ^ω^)あいむNOTあDEADぼでぃーのようです 18 2011年02月25日 ( ^ω^)あいむNOTあDEADぼでぃーのようです トラックバック:0コメント:3

管理人より
この18話以降更新停止しているようです。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:14:25.73 ID:fsQbHMCIO


アラマキの屋敷の表玄関で、男達が暴れ回っていた。
人数は段々と増えていき、罵声の飛ばし合いが殴り合いに変わり、暴動の規模は着実に大きくなっていく。
そんな荒れていく場を、物陰からひっそりと眺めているいくつかの影があった。

( ´_ゝ`)「中々良い調子じゃないか」

(´<_` )「戦力の九割をあっちに回してるんだ、上手くいって貰わなければ困る」

( ФωФ)(皆、頑張ってるのであります……)

この騒ぎは、サスガファミリーによって意図的に作られたものである。
人数や、不死の力を持たれているという戦力差を埋める苦肉の策は、所謂、囮作戦。

表玄関側で暴動を起こし、アーラシファミリーを引きつけ、
その隙に裏玄関から少数精鋭が攻め込むという、至ってシンプルな方法だった。

( ФωФ)「……でも、そんな簡単に行くものなんでありますか?」

( ´_ゝ`)「いや、十中八九、思い通りにはいかないだろう」

(;ФωФ)「ええっ!?」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:16:36.59 ID:fsQbHMCIO


(´<_` )「まぁ思い通りに行く方がつまらん、ゲームは多少難易度があった方がいい」

(;ФωФ)「これはゲームじゃないであります!」

( ´_ゝ`)「人生は極上のゲームだろ……む?」

サスガの一人が、拳銃を取り出し、アーラシの一人に向ける。
へらへらとしながら命乞いをする所を見ると、不死で間違いないだろう。
死への恐怖がまるで感じられない。
胸元には、きっちり赤いネクタイが巻かれていた。

( ´_ゝ`)「『レッド』を出し惜しみする気は毛頭ないようだな」」

(´<_` )「やはり奇襲もバレバレだった訳だ」

そして銃声が鳴り響き、アーラシの男の頭部から血が噴き出す。
糸が切れたかのように倒れる体を見送って、場の全員が更なる興奮に目覚める。
殴り合いは、殺し合いに発展しかけていた。

( ´_ゝ`)「よし手筈通りだ、行くぞ」

(´<_` )「銃声を合図に走り出すなんて、まるで運動会だな」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:18:42.95 ID:fsQbHMCIO


多人数の殺し合いという、大規模な暴動ならば、警察も鎮圧の準備には手間がかかるだろう。
おまけ、にアーラシファミリーのテリトリーには中々踏みにくいという話もある。
凡その計算で、警察が来るまでは一時間と推測した。

( ´_ゝ`)「ボスを倒して逃げ出すまでが、このクエストの成功条件だ」

(´<_` )「タイムリミット付きとはな、燃えるじゃないか」

(;ФωФ)「うぅ……御二人の考え方には付いていけそうにないのであります……」

また、表玄関の暴動は、あくまで騒ぎを起こす事が第一。
敵側が不死であろうとも、こちらは限りある命なのだ。
無理はせず、銃の無駄撃ちを繰り返すくらいが好ましい。
実際、今現在、規模の大きさの割に合わず、負傷者はほぼいない状態だった。

しかし、いくら表側で騒ごうとも、裏玄関のセキリュティーは厳しいままだろうと兄弟は考える。
アラマキ程の男なら、下っ端の屋敷警備も完璧をもって務めさせている筈だ、と。

詰る所、多少楽になってくれればという程度の囮作戦。

そして命を懸ける意気込みの彼らの気持ちに対して失礼に値するとしても、
家族をあまり危険な目には遭わせたくないという願望から生みされた作戦だった。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:22:22.25 ID:fsQbHMCIO


( ФωФ)「……あれ?」

予想に反して裏玄関は閑散としていた。
人気も感じられず、無機質な空間が広がるばかりである。

(*ФωФ)「も、もしかして作戦が完璧に嵌ったんじゃないですか?
       全員表側の暴動に夢中になって……!!」

ロマネスクは尊敬の眼差しを浮かべ、兄弟に問いかけた。
余計な気苦労であったのだと、心底ほっとする。


しかし、

( ´_ゝ`)「ふっ、面白いじゃないか」

(´<_` )「そうだなぁ、ボスの前には必ず中ボス戦が待っているもんだよな」

兄弟は不気味な笑みを湛えたまま、意味不明の言葉を呟いていた。
理解も出来ず、ロマネスクが兄弟の視線を追うと、そこに奇妙な物体が存在していた。

(;ФωФ)「……あれは?」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:24:33.03 ID:fsQbHMCIO


巨大な箱が、扉を塞ぐかのように待ち構えていた。
全体は漆黒に染められているが、中央部分に純白の十字架が刻まれている。
場違いなその存在が、静けさに包まれた空間に放つ、嫌な存在感。

ロマネスクは初め、その箱の存在を理解出来なかった。
あまりに場違いであり、異常であり、存在が矛盾している。

それでも、この箱の名前は嫌でも分かる。

黒く巨大な箱、それは『棺桶』と呼ばれる物だった。


( ´_ゝ`)「馬鹿げた噂だと思っていたが」

(´<_` )「まさか本当とは……これだからこのゲームは面白い」

(;ФωФ)「い、一体どういう事でありますか……?」

異常な存在を、あまりに容易く受け止める兄弟。
態度から察するに、これを予期していたのだろうか。

そして、混乱するロマネスクを更なる異次元へと誘う事象。
二メートルを超える棺桶が、ひとりでに浮かび上がったのである。



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:27:33.34 ID:fsQbHMCIO


だが地面から離れていく棺桶の下から、人の足が覗き始める。
その人物が持ち上げているのだという事は間違いないだろうが、だからこそロマネスクはより驚愕した。
二メートルを超えた棺桶を、軽々と持ち上げる人物の腕力。
それを予測した時、ロマネスクは体の芯が震えるのを感じた。

( ´_ゝ`)「オトリス、お前はあれを持てるか?」

(´<_` )「……いや、無理だろうな」

そして棺桶を持ち上げた人物は、場の全員に姿を露わにする。

身の丈は棺桶よりやや低い程度という長身だが、その体はアンバランスに細かった。
棺桶を持てるようにはとても感じられず、目の前の光景の異常さが際立っている。
無表情のままこちらを観察する姿は、不気味と言う他にない。


【+  】ゞ゚)「ア、ニ、ムル、と、オ、ト、リス?」


ゆっくりと、確かめるように兄弟の名を呼ぶオーサム=レッドフィールド。
裏玄関を任されたのは、アラマキの側近であり、アーラシの幹部である彼一人だった。



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:31:45.34 ID:fsQbHMCIO


( ´_ゝ`)「一人とはな、よっぽど信頼しているのか、こいつを」

(´<_` )「優秀な手駒だと考えているのは確か―――!?」


兄弟が分析を終える前に、オーサムは棺桶を背負って駆け、
そして振り上げた棺桶を、ハンマーのように振り下ろした。


空気が裂け、地面に衝突し、轟音が鳴り響く。


咄嗟に避けることに成功していた全員が、地面が揺れたかのような錯覚に陥った。
だが、あながち間違ってはいないのかもしれない。
棺桶が振り落とされた部分のコンクリートは粉砕され、その威力を物語っていた。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:33:49.57 ID:fsQbHMCIO


(;´_ゝ`)「おいおいおい、一体どんな馬鹿力だよ、あの野郎は!?」

(;ФωФ)「死ぬかと思った、死ぬかと思った、死ぬかと思ったぁ!!」

(´<_` )「……いや待て、様子がおかしい」



【+  】ゞ;)「……うっ、ううぅ……うぐぅぅ……!!」



実力を十分過ぎる程に見せつけた筈のオーサムが、地面に崩れ、打ち拉がれていた。
どうやら泣いているらしい。嗚咽すら聞こえる始末である。




24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:36:36.74 ID:fsQbHMCIO


【+  】ゞ;)「避けられた、避けられてしまったよぉ……。
         もう駄目だぁ、ユストピー兄弟と僕がやり合える筈が無かったんだ……」

オーサムは大粒の涙を零し、弱音を吐き連ねていた。
ロマネスクは思わず絶句し、兄弟も驚きに行動を奪われてしまっていた。


【+  】ゞ;)「僕は殺されるんだぁ、だって攻撃しちゃったもん。
         首を絞められる? 銃で撃ち抜かれる? 死ぬまで殴られる?
         嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、死にたくない、死にたくないよぉ……」


(;´_ゝ`)「あー、そのなんだ、お前が素直にどいてくれるっていうなら、普通に見逃すぞ?」

【+  】ゞ;)「……本当?」

(´<_` )「本当だとも、無駄な殺生は好まない性質でな」

嬉しそうな表情を浮かべるオーサムを見て、案外あっさり通れそうだと兄弟は胸を撫で下ろした。



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:39:27.20 ID:fsQbHMCIO


しかし、


【+  】ゞ゚)「……でも、それ嘘なんでしょ?」


オーサムは突如として元の冷徹な表情に戻り、問いかける。
不気味な迫力に圧され、兄弟は後ずさってしまった。

【+  】ゞ )「分かる、分かるんだよ僕には、人はいつだって嘘をつくんだ。
        一回安心させておいて騙すなんて、卑劣なことをするじゃないか、酷いじゃないか。
        僕は知ってるよ、だって何回も騙されたから、今回もきっとそうなんだ」

(;´_ゝ`)「待て、過去に何があったのかは知らんが、俺達は嘘をつくつもりなどない」

【+  】ゞ )「そんなに必死になって、よっぽど僕を殺したいの?
        僕は嫌だよ、殺されたくないよ、まだまだ人生は長いんだよ?
        こんなとこで死ぬなんて絶対に嫌だ、嫌だ嫌だイヤだイヤだいやだいやいやいやいやいやいや……」

オーサムは狂ったように同じ言葉を繰り返しながら、体中を掻き毟る。
血が滲み始めようともその手を止めようとはせず、『べき』という音と共に爪が剥がれ落ちた。
赤の線がその身に刻まれていき、抽象画のような模様が出来あがる。

それでもまだ掻き毟り、呟き、掻き毟り、呟き、掻き毟り……。



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:42:45.25 ID:fsQbHMCIO



【+  】ゞ゚)「そうだ!」


そうしていく内に、一つの答えを見つけた。


【+  】ゞ゚)「殺されたくないなら、殺しちゃえば良いんだ!
        なぁんだ、そういえばいつもやってる事だったね、簡単簡単!
        この棺桶で叩き潰して、ぐちゃぐちゃにして、ちょっとも動かないお肉にしちゃおう!!」


他人を拒絶する最も簡単な方法は、そもそも人がいない場所にいればいい。
でも、この場所には人が訪れる。 邪魔をされる。

ならば、人を消してしまえば良い。

自らの手で、人が人でなくなるまで、叩き潰してしまえば良い。

それがオーサムの自分を守る方法、人と関わらない為の方法。
歪んだ過去は、歪んだ思想を生み、歪んだ人間が形成されていった。

オーサム=レッドフィールド、彼をアラマキが気に入る理由は、その異常な人間性が故だった。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:46:26.68 ID:fsQbHMCIO



【+  】ゞ゚)「うううぅぅぅぅ……―――ああああああぁぁぁぁぁぁああ!!」


雄叫びを上げながら、オーサムは兄弟に襲いかかる。

棺桶を持ちながらという事もあり、移動は決して速いとは言えない。
しかし攻撃動作に入ってからの流れるような動きは速さを補い、
棺桶の放つ重厚感は敵対する相手の恐怖を呼び起こさせ、体を自然な状態にはさせてはくれない。

一撃で体を完全に破壊する威力を秘めているのだ。
当たってはいけないという想いが先行するのも当然。

結果、実際以上の速さを感じ、兄弟も避けるのが精一杯だった。


(;´_ゝ`)「くっ、やはりアーラシの所は異常な奴ばっかりだな!」

(´<_` )「以前の俺達も含めて、な!」

軽口を叩くも、砕かれていくコンクリートを見る度、兄弟はぞっとする。
オーサムは手を緩めようともせず、むしろ加速する勢いで棺桶を振り回していた。



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:48:26.86 ID:fsQbHMCIO


(;´_ゝ`)「どうするんだよオトリス!」

(´<_` )「どうするも何も……攻めるしかあるまい?」

(;´_ゝ`)「俺近付きたくねーぞ、絶対に、絶対にだ!」

(´<_` )「そんな情けない決意を熱く語られてもな……」

(;´_ゝ`)「だから、行くならお前が―――ってうおわぁ!」

(´<_`;)「アニムルッ!」


砕かれたコンクリートの破片に足を取られ、アニムルが転倒する。
急いで体勢を整えようとしたが、

【+  】ゞ゚)「うひひっ、うヒヒヒヒヒひひひひぃぃ……!!」

機を逃さんとばかりに、オーサムはスピードを上げ詰め寄る。
その速度は、体を起こして逃げようとするアニムルを上回っていて、それはつまり―――。

(;´_ゝ`)「あっ」

完璧に狙いを定めた棺桶が、アニムルに振り落とされるということを示唆していた。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:51:06.40 ID:fsQbHMCIO


―――が、時は訪れない。

棺桶は振り上げられた状態のまま、固定されている。
何事かとアニムルが恐る恐る見上げる。すると。


(;ФωФ)「ぐっ……!!」


【+  】ゞ;)「離せ離せ離せ離せ離せはなせええぇえええええええ!!
         僕に触るなぁぁぁぁああああああああああ!!」


ロマネスクが、オーサムに後ろから掴みかかり、行動を束縛していた。
しかし馬鹿力のオーサムをそう簡単に止められはせず、やや振り回され気味ではある。

それでも決して手を離そうとはしなかった。

(;´_ゝ`)「ロマネスク!」

(;ФωФ)「アニムルさん、早くっ!」

言葉にはっとし、アニムルはその場から離れた。
それを見届けると、ロマネスクは言葉を紡ぐ。



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:54:19.52 ID:fsQbHMCIO


(;ФωФ)「アニムルさん、オトリスさん、今のうちに行ってくださいっ!!」

(;´_ゝ`)「な!?」

(´<_` )「馬鹿な事を言うな、お前一人でどうにかなるような相手では……」


(;ФωФ)「どうにかならなくても、どうにかしなくちゃならないんだっ!!」


ロマネスクは、オーサムの行動を封じながら叫ぶ。
普段のおどおどとした態度からは考えられない、勇ましい姿。
思いの丈を全て吐き出すかのように、力強く。

(;ФωФ)「僕の大きな体が役に立った事なんて無かった、臆病な僕には勿体ないくらい才能だったのに!
       だからいつか役に立てなきゃと思っていて、いつか頑張れる時が来ると思っていて、
       きっとそれは今なんだ、今僕はやらなきゃいけないんだっ!!」

(;ФωФ)「そしてこの『やらなきゃいけない時』がアニムルさん達にもあるとしたら、
       それはここで僕を置いて行き、アラマキを止めることなんだっ!
       アニムルさん達は行かなきゃならない、僕の為にも、他の皆のためにもっ!!」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:56:33.89 ID:fsQbHMCIO


コンプレックスと言うべきものだった。

恵まれた身体に生まれたにも関わらず、ロマネスクは体を動かすのが嫌いだった。
苦手な訳でもなく、ただ才能を蔑しろにしていた。
この業界に入ってからも、それは変わらず、事務的な作業を好んでいた。
周囲から『身体の大きさが羨ましい』と言われても、嫌味にしか感じられなかった。

しかし、最近になって考えを改め直した。

皆が、必死になって、今を生きている。
世界を守るとまで考えている者達に惹かれ、思ったのだ。

眩いくらいの生き方を見せる彼らと違って、自分の不甲斐なさは一体なんだと。
自分も、自分を最大限に生かし、彼らのように全力で今を生きたいと。

(;ФωФ)「それに、あくまで時間稼ぎをするだけであります。
       こんな化け物とまともにやり合おうなんて、そこまで無謀ではないのであります」

(;´_ゝ`)「しかし……!!」

(;ФωФ)「決断するなら早く! 僕ももうこれ以上は持ちそうにありません!!」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 19:59:01.96 ID:fsQbHMCIO


ロマネスクの覚悟が本気であると兄弟は悟り、場を任せる事にした。
二人見合わせた後、ロマネスクに言葉を送る。

( ´_ゝ`)「無理はするなよ!」

(´<_` )「後でたっぷり飲もう、暴れようとも俺達が止めてやるからな!」

兄弟はアラマキの屋敷の中へと入っていった。
それを見届けたロマネスクがほっとすると同時、オーサムが一層の力で暴れまわり、束縛を解く。


【+  】ゞ;)「逃げられちゃった……逃げられちゃった……ああぁぁぁあああああ!!」


そして再び棺桶を手に取り、振り上げ、振り下ろす。
今までの鬱憤を晴らすかのように、見境無く、周囲を破壊していく。

ロマネスクはそれを見て一息つき、

(;ФωФ)(やっぱり死ぬかもしれないのであります……)

しかしそれでも、やれるだけはやってやる、とオーサムを見据えた。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:01:23.15 ID:fsQbHMCIO








第十八話「世界で一番難しい問いかけに答えても祝福の鐘は鳴らされない」









46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:03:50.23 ID:fsQbHMCIO


川 ゚ -゚)「お茶はいるか? それともコーヒーがいいか?」

( ^ω^)「…………」

川 ゚ -゚)「厳しい顔をするな、私はコーヒーは頂くよ」

慣れた手付きでコーヒーを注ぎ、味わう。
コーヒーを啜る音だけが沈黙に響き、緊迫した雰囲気を演出する。
じっと見つめてくるばかりのブーンに堪え切れず、マリアンヌが話を切り出した。

川 ゚ -゚)「それで、今日はどういった用件で来たんだ?」

( ^ω^)「何を今更、クーも分かっている筈だお」

川 ゚ -゚)「……何の事かな」

( ^ω^)「口を濁すつもりなら言ってやるお、僕は、ドクオの居場所を聞きに来た」

単刀直入な物言いに、マリアンヌは、やはりなんの反応も示さなかった。
マリアンヌがドクオの事を隠しているのを間違いない。
その上での態度というのなら、手強いポーカーフェイスだとブーンは思った。



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:07:18.65 ID:fsQbHMCIO


川 ゚ -゚)「ドクオか、懐かしい名前を出すじゃないか」

( ^ω^)「思い出でしかないとでも言いたいのかお、今も会っているんだお?」

川 ゚ -゚)「……さぁね、覚えはないが?」

のらりくらりとかわされてしまい、ブーンは眉をひそめる。
それに気付いたマリアンヌは、『にい』と顔を嫌らしく歪ませた。

川 ゚ -゚)「これでも、そう暇な訳じゃあないんだよ。 恋人も待たせてしまっているしね。
     理解出来ないような事を言うつもりなら、申し訳ないが、帰って欲しい」

( ^ω^)「理解出来てない訳がないお!」

川 ゚ -゚)「何故だ? 私とドクオが会っているという証拠でもあるのか?」

ブーンは、何も返せなかった。

情報を得るというのは、相手の協力があって初めて成り立つものである。
知らぬ存ぜぬの一点張りをされてしまうと、情報を聞こうとしている側はどうする事も出来ない。
ブーンはドクオとマリアンヌが協力者であるのを確信している。
しかし、それ故にマリアンヌから情報を聞き出すのは難しい。

協力者が情報を流すというのは、つまり、『裏切り』になるのだから。



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:09:30.14 ID:fsQbHMCIO


( ^ω^)「それでも、クーはドクオと会っている筈だお」

当然、この展開をブーンが予測していなかった訳ではない。
むしろここまでは思った通りに進んでいた。

川 ゚ -゚)「……どうやら色々と知ってしまったようだな」
     ならば私もはぐらかすのを止めよう、確かに、私は今もドクオと関係を持っているよ」

( ^ω^)「知ってるお」

川 ゚ -゚)「という事はつまり、私がドクオの居場所を教える筈がないという訳だ。
     ……ふふ、無理矢理聞き出そうとでも言うのか?」

( ^ω^)「その必要はないお」

川 ゚ -゚)「何故だ?」

( ^ω^)「君が、ドクオを裏切るからだお」

言い切られた言葉に、初めてマリアンヌが動揺を表情に示す。

ブーンの瞳に、一切の迷いはなかった。
つまり『裏切り』を第一前提に置いて、話をしに来たという事になる。
その冷やかな異常さに、マリアンヌは僅かな身震いを覚えた。



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:11:33.22 ID:fsQbHMCIO


川 ゚ -゚)「面白い、面白いなぁ、昔とは随分変わってしまったようだ」

( ^ω^)「クーは昔から何一つ変わってないお」

川 ゚ -゚)「……ならば聞かせて貰おうじゃないか、ブーンが私の元に来た理由。
     そして、私がドクオを裏切るという、その理由をな」

( ^ω^)「分かったお」

ブーンは記憶を振り返る。
小さな頃の記憶から、つい先日に至るまで、一切の取り逃がしもなく、全てを。
マリアンヌに話す言葉を纏める為、そしてもうじき会えるドクオに想いを馳せる為だった。

( ^ω^)「よくよく考えれば初めから分かり切っていたんだお。
       僕がドクオに不死のルールを教えられ、不死の実験台にされた日から」

川 ゚ -゚)「ほう?」

( ^ω^)「あの日教えられたルールの中に『不死の口付け、能力の受け渡しは異性間でのみ行える』
       ……というものがあった。 ならば、僕を不死に変えた人物は一体誰だったのか?」

川 ゚ -゚)「それが私という訳か?」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:14:00.57 ID:fsQbHMCIO


( ^ω^)「そうだお、ドクオが故郷に戻ったのは、僕を被験者にする為だけではなかった。
       引っ越して居場所が分からなくなったクーの連絡先を見つける為だったんだお」

川 ゚ -゚)「そして連絡をとった私と共に、ブーンを不死にした……成程な」

マリアンヌはどこか楽しそうで、ブーンは懐かしくも、謎解きが好きだった少女の姿を思い出していた。

( ^ω^)「フッサールの件もそうだお、この街で不死になっているのはアーラシのレッドチームだけだと聞いた。
       それなのにフッサールは不死になっていた……君という特別な恋人がいたから」

川 ゚ -゚)「折角不死に出来るんだ、恋人くらい不死にしたいものなぁ」

( ^ω^)「それに君自身、自分がドクオの協力者だというのを仄めかしていたお」

川 ゚ -゚)「そうだったか?」

( ^ω^)「僕達がカフェで出会った時、僕はそれが偶然だったと思っていた。
       でもあれは君の意志だった、 謎かけという形でヒントを渡しに来たんだお」

川 ゚ -゚)「『何かを知りたいのなら、まず自分が何であるのかを考え直すことが必要』か」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:19:01.39 ID:fsQbHMCIO


( ^ω^)「自分を考え直した時、僕は過去を振り返った。
       その時、ドクオとクーと……そしてヒートと遊んだ日々が一番に浮かんだお」

コーヒーを一口飲み、マリアンウは『へえ』と漏らした。
その仕草は、まるで僅かに揺れてしまった心を、一度元に戻そうとしているかのようだった。

( ^ω^)「それにヒントを態々僕にくれたという事は、クーはもう止めたかったんだお。
       ……自分がしている事が不毛であると気付いたから、だから」


川 ゚ -゚)「つまり、もう君は分かっているのだな、私の本心を」

その問いかけにブーンは言葉を躊躇い、無言で頷いた。
軽く微笑むようにして、マリアンヌが続ける。

川 ゚ -゚)「……ならば突きつけてもらおう、私の本心、君の話で唯一抜けている部分を」

川 ゚ -゚)「根本的な部分が無いんだよ、何故私がドクオに協力したのか。
     そして裏切った理由、君の話は断片的なものばかりだからね」

川 ゚ -゚)「私の行動の中には、そうさせている一本の筋がある。
     その筋があるからこそ私は矛盾しないし、真っ直ぐに進めるんだ。
     ……さぁ、答えを示してくれ、ブーン=マストレイ」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:21:23.02 ID:fsQbHMCIO


今まで、ブーンがマリアンヌの謎かけに即答出来たこと等なかった。
もし答えられたとしても、それは時間をかけたものばかりで、悩まされたブーンの負けには変わりない。


( ^ω^)「……ドクオが母親を殺した日を、僕は忘れないお。
       きっと、それは君も同じ、いやクーは僕以上に強く、記憶に刻んでいる筈だお」

( ^ω^)「クーは窓を叩いていた。 涙を流しながら何度も何度も。
       大きな音を立てて、泣き喚いて、ドクオに気付いて欲しくて、振り向いて欲しくて」

( ^ω^)「あの時からきっと、クーの気持ちは変わらなかった。
       だからドクオに協力したし……もう無理なんだと悟って、誰かに止めてほしくなった」


そして、今ようやく、すぐに答えを返す事が出来た。
しかし同時にそれは、これまでで一番難解な問題であったに違いなかった。


( ^ω^)「今も昔も変わらないその気持ち、君の中の一本の筋。
       それは……マリアンヌ=クークルゥがドクオ=サンライズを愛していること、だお」




64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:25:04.25 ID:fsQbHMCIO


マリアンヌは、その時、自分の中にあった何かが崩れ落ちる音を聞いた。
耳鳴りが起きそうな音に、他の一切が見聞き出来なくなる。
築いてきた過去、望んでいた未来。
それらは全て幻だったかのように、一瞬で崩壊してしまった。

川 ∀ )「はは、あははははははははははははははははははははははははははは……。
     はははははは、あははははははははっ、ははっ、ははははははははははは」

笑うことしか出来なかった。
楽しい訳でもないし、愉快なはずもない。
ただ無性に、腹の底から笑いたくなったので、本能のまま大声を上げて笑った。

川 ゚∀゚)「その通りだよ、ブーン=マストレイ!
     私は好きだったんだよ、ドクオ=サンライズが!
     愛していたんだ。 小さな頃からずっと、ずっとだ!!」

( ^ω^)「……でも、ドクオは君を愛さなかった」

川 ゚∀゚)「ああ、しかし、いつかきっと目を覚ましてくれると信じていた。
     その時に一番身近な存在であれば、彼が愛するのは私だと思った!」

ポーカーフェイスは見る影もなく、思いのままに叫ぶマリアンヌの姿は、
人間が所詮動物であるという事を端的に示していた。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:27:32.31 ID:fsQbHMCIO


川 ∀ )「それでもドクオの頭からヒートが消えることはなかった!
     私の事になんて一切目もくれず、ただ死人に愛を捧げているんだ!」

( ^ω^)「だから、終わりにしなきゃいけないんだお。
       ドクオのやっている事は誰一人として幸せになんかしないから」


川  - )「……そうだな、もうゲームは終わりだな」


マリアンヌは手帳に筆を走らせ、そのページを切り取った。
ブーンに手渡されたその紙には、住所と思われる文字列と、簡単な地図が書かれていた。

川  - )「ドクオはここにいるよ、恐らくな」

( ^ω^)「恐らく?」

川  - )「……私は、ここ暫くドクオに会っていないんだ」

その表情は憂いを帯びていて、それ以上の追及を許さなかった。
俯くマリアンヌを置いて立ち去ろうとすると、背中に声をかけられる。



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:29:41.22 ID:fsQbHMCIO



川  - )「ドクオの道が間違っていたとしても、私は彼が幸せだと言いたい。
     愛する人の為に全てを懸けられるというのは、きっと、幸せなんだと。
     ……じゃないと、彼も、私も救われないじゃないか」


( ^ω^)「……僕には君たちが幸せとは言えそうにないお」


残された言葉と、去りゆく背中を、マリアンヌは静かに見送った。


酷く疲れている気がする。
自らの心も定まらないまま、ふと天井を見上げる。


『あの時』と同じように、得体の知れない黒いものに包まれる感覚。

頬を、涙が伝っていた。




70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:32:39.64 ID:fsQbHMCIO


古びた研究所には、いつものように彼と私の二人だけ。
埃っぽい大量の書物を漁る私と、人体の構造を自分の体を以て調べている彼。
不死の体はこれ以上ない程の人体サンプルとなり、右手で左手を切り裂くのに夢中になっている。
横目でそれを覗きながら、私はページを一つ捲った。


('A`)「……どうした、何か参考になるものでも見つけたのか?」


そんな私の様子は気付かれてしまったらしく、ドクオが尋ねる。
視線は一切動かされていないというのに、どうして分かったのだろうか。

川 ゚ -゚)「いや、特には目新しい発見はないよ」

('A`)「そうか、まぁそこら辺は百回以上見直したからな……」

その言葉の通り、どの本も皺くちゃになっていて、使い古された感が漂っていた。
命を懸けた研究であるというのを改めて思い知る。

川 ゚ -゚)「……少しくらい休んだ方が良いんじゃないか?」

('A`)「まだまだ休む気にはならないさ」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:34:42.26 ID:fsQbHMCIO


川 ゚ -゚)「そうは言っても、ここ最近は徹夜も続いている」

('A`)「過労死は四度程体験したが、中々面白い体験だぞ」

態度こそ悠悠としているが、頬はこけ、目の下は隈で黒く染まっている。
一心不乱に研究に打ち込む姿は、もはや病的であり、他者の意見など受け入れようはずもなかった。

川 ゚ -゚)「肉体的じゃない、精神的な問題を指摘しているんだ。
     睡眠もとらず、自分の体を傷つけるばかりでは気が狂ってしまう」

('A`)「人の精神が壊れる瞬間か、それもまた一度は体験してみたいな。
    脳の異常がそうさせるのか、それともまた別の、理論を超えた現象なのか……。
    口付けで治るのかどうか、もし壊れたら試してくれよ」

川 ゚ -゚)「……いい加減にしてくれ、少しはこっちの話も」


('A`)「いい加減にするのはそっちの方じゃないか?」


私の言葉に被せるように、ドクオは言い放った。
いつの間にかに研究は中断されていて、視線は私に向けられていた。



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:37:07.81 ID:fsQbHMCIO


('A`)「俺は確かにクーに感謝もしている、ここまで来れたのはクーのおかげた。
    だが今となってはそうでもない、俺に協力してくれる人はクー以外にも山ほどいる。
    そこをどうしてもと言うから、一緒に研究させてやっているんじゃないか」

('A`)「それをなんだ、最近は休めだの、研究以外にも何かしろだの、邪魔をするような事ばかり。
    黙って研究に打ち込めないというのなら、今すぐ出て行って貰えないか?」

つらつらと語られる言葉に、胸が締め付けられる。
想い人にこうまで言われるだなんて。 私は少しの心配をしただけなのに。
しかし、思えば、最近はこのような文句をつけられるのが多くなったのも、確かだった。

川 ゚ -゚)「すまない、気を悪くさせたなら謝る」

('A`)「また一言謝って終わりか、いつもそれだな。
    態度を改める気が無いなら謝罪する意味なんて無い」

しかし今日のドクオは幾分、機嫌が良くないらしく、苦情は続いた。

('A`)「俺にとってこの研究は生き甲斐であり、全てだ。
    それを邪魔されるのがどういう事か分かるか?
    生きるのを否定されるのと同じだ、俺に死ねというのか?」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:39:51.30 ID:fsQbHMCIO


彼の苛立ちが、一過性のヒステリックである事は十分に承知しているつもりだった。
現に今までも、こうして怒りをぶつけられた後、彼は何倍も優しく私に接してくる。
その時の申し訳なさそうな表情が可愛くて、愛おしくて、私はいつまでも傍に居たいと思っていた。

しかし、今回は勝手が違った。

('A`)「……この研究はヒートに出会う唯一の手段なんだ。
    彼女こそが俺の全てなんだ、俺にはヒートがいないと駄目なんだ。
    ……居てもいなくても変わらない、お前とは存在価値が全く違うんだ」

川 ゚ -゚)「……っ」

私はどうしても冷静でいられなかった。

研究がヒートの為だと聞いたからではない。
存在をどうでもいいと言われたからでもない。
私と死人とを比べて、一切の迷いもなく、死人が選ばれた事が不服だった。

小さい頃から感じていた嫉妬。
妹という、本来選択肢に成りえない存在に私は負けてきた。

それが、妹から死人になっても、私は敵わないというのか?

ふざけるな。



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:42:31.37 ID:fsQbHMCIO


ドクオに駆け寄り、首に手を回し、唇を奪った。
強引に舌をねじ込み、唾液を流し込み、舌と舌とを執拗に嬲らせ合う。
不死の力とはまるで関係のない『性』を感じる口付け。
その瞬間だけは、ヒートへ捧げられていたドクオの愛が、私のものだった。

数十秒に及ぶ口付けは、ドクオが私の唇を噛むことで終わった。
ロマンチックさの欠片もなく、痛みと鉄の匂いが、物悲しく心に沁み入った。

('A`)「……何をする」

川 ゚ -゚)「女の私を引き剥がせないなんて、やはり力が弱いな」

(#'A`)「何をする、と聞いたんだ!!」

川 ゚∀゚)「ははは、精神が壊れたなら口付けをしろと言ったのは君の方だろう?
     しっかり効くように念入りにしてやったんだ、むしろ礼を言って欲しいね」

(#'A`)「貴様……!!」

もう自分の暴走を止められる気はしなかった。

口を動かしている自分と、冷静に自分を見つめている自分とに、私は分離していた。
これで終わりだな、と後者の私は悲しむ訳でもなく達観する。

きっと、いつかこんな日が来るだろうと予期していたのだ。



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:45:41.63 ID:fsQbHMCIO


(#'A`)「出て行け、そして二度と俺の前に姿を現すな!!」

川 ゚∀゚)「そうか、じゃあ最後に言わせて貰うよ、ドクオ。 
     私は君が大好きだ、愛している、こんな研究は絶対に上手くいかない」

(#'A`)「不愉快だ、早く出て行け……!!」

川 ゚∀゚)「狂ってる、お前は狂っているよ。
     私の愛を素直に受け入れれば良いものを、ああ勿体ない!!」

(#'A`)「狂ってても良い!! 俺は、俺はヒートともう一度会えるならば、それで……!!」


彼と会ったのは、この日が最後だった。
それからは手紙で連絡を取り合う程度。

こんな事があってもまだ、彼の言う通りに従う私も狂っているのだろう。




89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:47:59.48 ID:fsQbHMCIO


ミ,,゚Д゚彡「……マリアンヌー、お客さんは帰ったー?」

そろそろと家の扉を開け、忍び込むかのように帰宅するフッサール。
家の中はしんとしていた為、ああ客は帰ったのだな、とほっと一息ついた。

ミ,,゚Д゚彡「マリアンヌー、フッサールが帰ったよー?」

返事はなかった。
普段は優しく迎え入れてくれる声が聞こえてこない。
心が寒くなったフッサールは、急ぎ足で家中を探索する。

風呂場やトイレや台所を見回ったところで、リビングが一番可能性が高い事に気付き、
自画自賛しながら、勢いよく扉を開いた。

すると、

ミ,,;゚Д゚彡「ま、マリアンヌ!?」

マリアンヌが、部屋の中央に横たわっていた。
良からぬ事態が起きたのかと、慌てて抱き上げる。



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:50:38.10 ID:fsQbHMCIO


川 ゚ -゚)「……ん、フッサール?」

ミ,,゚Д゚彡「あ、起きた、なんだぁ、お昼寝してただけかぁ!」

『ふー』と汗を拭くような仕草をして、微笑む。
ここでマリアンヌが頭を撫でてくれよう事を期待したが、それは訪れなかった。


川  - )「フッサール……私な、私はな……」

ミ,,゚Д゚彡「どうしたの、元気ないね?」


川  - )「私は……君の事を、愛してなかった」

ミ,,゚Д゚彡「……え?」


落雷が、体を劈いた。

静かに呟かれた筈だったのに、その言葉はけたたましい音を響かせ、
何度も何度も自分の中で木霊する。

鼓動が不規則に乱れ、加速し、煩わざるを得なかった。



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:52:22.62 ID:fsQbHMCIO


ミ,,゚Д゚彡「えと……どういう事なの?」

川  - )「……私には元々、好きな人がいたんだ。
     小さな頃から、ずっとずっと、大好きな人が」

ミ,,゚Д゚彡「うん」


川  - )「でも、その人には私以外に好きな人がいた。
     私のことなんか見てくれなくて、私の名前も呼んでくれなくて……」

川  - )「そしてそんな境遇に満足できなくなった私は、愛を別の形で補う事にした。 
     つまり別の人から愛してもらう、つまりフッサール、君からの愛だ。
     私は彼から愛してもらえないから、君から愛される事で代えようとしたんだ!!」


フッサールは、これが何かの冗談であればと願った。
しかし悲痛に言葉を紡ぐマリアンヌの姿は、至って真剣であり、本当の想いだった。

だからこそ、聞き届けなければならないと思った。

例え悲しくても、心が張り裂けそうでも、ここで逃げてはならない。

何故なら、フッサールは―――。



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:55:18.87 ID:fsQbHMCIO


ミ,,゚Д゚彡「そっか……マリアンヌは僕が好きではなかったんだね」

川  - )「……すまない、本当にすまない」

ミ,,゚Д゚彡「よく考えたら、マリアンヌみたいな人がいきなり僕を好きになってくれる訳もないしね」

実際、マリアンヌがフッサールを相手に選んだのも、
警戒心が薄く、騙しやすそうな人間であったからだった。
本人にそれを指摘され、自業自得ながらにマリアンヌの胸はずきりと痛んだ。

ミ,,゚Д゚彡「でさ、今日でその人とは決着がついたの?」

川  - )「ああ、絶対に叶わないと知ってしまったから。
     ……もう、全部終わりにしないといけないんだ」


『君との関係も』とマリアンヌは続けようとした。
仮初の愛にも、今日限りで決着をつけなければならないと感じていたのだ。

しかし、ここで思いもよらない事態が起きた。

フッサールが、飛びつくように、抱きついてきたのだ。



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 20:57:47.90 ID:fsQbHMCIO

ミ,,*゚Д゚彡「良かった! なら僕がマリアンヌを好きでいるのに問題はないんだね!」

川;゚ -゚)「な……!」

ミ,,*゚Д゚彡「あ、でも今は恋人じゃないから抱きつくのはNG、NG?
       でも嬉しいから我慢してね! 温もりを感じたいから我慢してね!」

脳内の回線がパンクする程、マリアンヌは混乱していた。
今まで騙され続けた女を、まだ好きでいるとフッサールは言うのだ。
なんの邪念もなく、屈託のない笑みを向けてくる。

何も分からなくなった。
どこか夢心地で、体がふわふわと浮いている気さえしていた。

全ての考えが吹き飛んだ時、残されていたものは、フッサールの温かさだけだった。

川 ゚ -゚)「良いのか……私は君を騙していたんだぞ……?」

ミ,,*゚Д゚彡「女は騙すくらいが丁度いいんだよ! 小悪魔テクってやつ?」

川 ゚ -゚)「また君を裏切ってしまうかもしれない」

ミ,,*゚Д゚彡「裏切りたくないくらいの男に僕は成長するよ!」


102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 21:00:08.11 ID:fsQbHMCIO


川 ゚ -゚)「どうしてそうまで言ってくれるの……?」

ミ,,*゚Д゚彡「決まってるさ、だって僕は―――」

フッサールは、何度この言葉を言ったのかは分からない。
マリアンヌは、何度この言葉を聞かされたのかは分からない。

だがそれでも、両者は胸を高鳴らせるのだ。
永遠に色褪せない記憶として、その胸に刻むのだ。


ミ,,*゚Д゚彡「マリアンヌの事を、愛しているから!!」


その瞬間、得体の知れない黒いものが、空に浮かんで消え去った。
小さな頃からの呪縛から解き放たれたマリアンヌに、世界はより鮮明に映った。

愛は、その時をもって真実に変わった。
数えきれないくらいに繰り返された先にようやく起きたそれは、奇跡と呼んでいいのだろう。
世界の中心で微笑むフッサールに対して、マリアンヌ微笑み返し、言った。



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 21:03:11.04 ID:fsQbHMCIO



川*゚ -゚)「私は、絶対に君を好きになるんだろうね」





ミ,,*゚Д゚彡「君は、絶対に僕を好きになるんだからね」






絶望に効く特効薬は、一つの純粋な愛だった。





―――The story might continue




105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 21:05:33.97 ID:fsQbHMCIO


オーサム=レッドフィールドは棺桶が大きすぎてアラマキの屋敷に入りにくい
ロマネスク=ローレールはへっぴり腰なのに勇敢
フッサール=ストーンナビットはマリアンヌ=クークルゥという世界の中心で愛を叫んだケモノ

お疲れ様です。
ありがとうございます。
第六話のサブタイトルの意味が変わってくるかなと
今日は終わりです。
それでは。
また。





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コメント

ここまでしか見たことがないので続きが楽しみです!
まとめお疲れ様です。
  1. 2011/02/26(土) 01:36:07 |
  2. URL |
  3. 通りすがりの名無しさん #-
  4. [ 編集 ]
逃亡作まとめるの勘弁してほしい
がっかり感がすごい
  1. 2011/03/08(火) 05:48:39 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]
思いがけずがっかりさせてしまったようですみません。
ただまとめに関しては、完結未完結問わず「自分が読みたいもの」を第一にチョイスしてたりするので
これからも未完作品をまとめるということはあると思います。

ですが、その際は未完であることを一覧や、一話目に明記するようにしたいと思います。
ご指摘ありがとうございました。
  1. 2011/03/08(火) 20:54:13 |
  2. URL |
  3. Eksr #I9PmcRDw
  4. [ 編集 ]

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