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( ^ω^)戦国を歩くギタリストのようです 第九話 2011年03月24日 ( ^ω^)戦国を歩くギタリストのようです トラックバック:0コメント:0


292 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:14:39 ID:MY5i2l3gO [2/27]
***
第九話 「戦には獣」

***

 
 徐々に近づいてくる地鳴り、怒号。
 そして殺気。

 何の準備も出来なかった二茶根瑠勢に、天野勢が獣の如く向かってくる。

 
(;`゚∽゚)「臆するでない!一番槍隊、密集せよ!!盾の用意だ!」

 浮き足立つ兵達に、何とか統率を計る将。

 この男の信頼がよほど高いのか。兵達の目が、ようやく戦のそれに変わった。

 
(#`゚∽゚)「我ら泉槍衆は最強の前衛部隊!!天野のうつけ共を、いざ蹴散らさん!!」

293 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:15:53 ID:MY5i2l3gO [3/27]
 
 根十城の前で構える泉槍衆を統率する男──泉は、自らは一番隊の後ろに付き、前方を睨みながら叫び続けた。

 その視線の先には、鬼の如く駈けてくる天野勢の槍騎兵隊、およそ千。
 

(#`゚∽゚)「蛮族よ!前方を揃えただけの陣で、我らにかかる気か!」

 
 兵力戦では、兵の数が勝敗を決定的にしてしまう。
 泉が見る限り、天野の軍は特にこれといった陣形はとっておらず、兵の数で押してくるようだった。

 しかし、泉率いる槍隊はこういった兵数の差には慣れていた。
 というのも、もともと百人程度の槍隊を更に五番隊まで分けていたので、常に少人数で戦ってきた経験があるのだ。

 今回も相手が兵数で押してくるに違いない。泉槍衆が最も得意とする形だ。
 敵の槍騎兵隊は、真っ直ぐ此方に向かって突進してきた。

 
(#`゚∽゚)「──え?」

 
 はずだった。

294 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:16:44 ID:MY5i2l3gO [4/27]
 
「分かれェェェイ!!!」

(;`゚∽゚)「!?」

 
 途端、目の前で天野勢の槍騎兵隊が二方向に分かれた。
 挟み撃ちをするわけでもなく、分かれた部隊はそのまま城を回るように、見当違いの方へ駈けていく。
 上の弓隊もこれは予想外だったらしく、第一射だけで攻撃を一旦止めた。

 
(;`゚∽゚)「どういうつもりだ…!?」

 
 目の前の敵が取る不可解な行動に、暫し困惑する泉。

 しかし、天野勢の取るその行動の意味を理解するのに、さほど時間はかからなかった。

 
(;`゚∽゚)「しまった……弓隊下がれェェ!!!」

295 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:17:55 ID:MY5i2l3gO [5/27]
 
 しかし、もう手遅れだった。

 天野の槍騎兵隊が二手に分かれ、その後方が完全に見えたその時。
 耳をつんざくような爆音が、辺りに響いた。

 
(;`゚∽゚)「クソったれ!!鉄砲隊か!」

 そう、その後ろに構えていたのは、強大な攻撃力を誇る天野の鉄砲軍団。
 この鉄砲隊をなるべく城に近付ける為に、天野勢は槍騎兵隊でフェイクをかけたのだ。

 そして、その鉄砲隊が弾を放った先は、城内上部の弓隊。
 城に敵を近寄らせない為の弓隊は、いとも簡単に壊滅した。

296 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:18:52 ID:MY5i2l3gO [6/27]
 
 そして、更なる悲劇が泉槍衆を襲う。
 

(;`゚∽゚)「泉槍衆全隊!一番槍隊の周りにつけ!!」

 
 敵の策略がわかってしまった泉は、焦りに焦った。
 時間がない。早く陣形を整えなければ──

 
(;`゚∽゚)「我ら泉槍衆が…こんな…」

 否、もう体勢を立て直すまでもなかった。

 泉槍衆の全隊、百人の兵達は、あっという間に天野の槍騎兵隊に吹き飛ばされていった。

 
 そう、最初に槍騎兵隊を二手に分かれさせたのは、単なるフェイクではなかった。
 二手に分かれた後は、鉄砲隊が弓隊を撃墜している間に城を外周し、今度はそのまま泉槍衆を挟み撃ちに行ったのだ。

 合戦開始、僅か数十分。
 根十城の外守りは、いともあっさり破られた。

 

──

297 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:20:11 ID:MY5i2l3gO [7/27]
──
 

 二茶根瑠勢が信頼を置いていた泉槍衆が、粘る間もなく全滅してしまった。それも弓隊ごとだ。
 他の隊を出そうにも、もう遅い。
 すぐに根十城内部に天野勢が進入し、乱戦が巻き起こった。
 

(;´・ω・`)「くっ…!」

 根十城内部に待機していた渚本介も、乱戦に巻き込まれた一人だった。
 襲ってくる槍や刀をかわし、止め、反撃を繰り返す。

 
(;´・ω・`)(キリがない…)

 
 正直なことを言うと、もう根十城は陥落すると見ていた。
 大した策も出来ないうちに、ただ大軍に押し寄せられる。
 それだけでも、勝敗はもう決まったようなものだった。

298 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:21:29 ID:MY5i2l3gO [8/27]
 
(;´・ω・`)(…仕方ない)

 途端、渚本介は踵を返し、馬小屋の方へと走り出した。
 渚本介と刃を合わせていた何人かが追いかけてきたが、すぐに乱戦に巻き込まれていった。

 
 途中で敵を何度も斬り伏せながら、全力で走り続ける渚本介。
 暫く走ると、ようやく兵士宿舎に辿り着いた。
 このあたりには誰もいないようだ。

 宿舎から長刀を取り、隣接する馬小屋で適当な馬に跨る。
 馬に乗った渚本介は、そのまま元来た道を戻るように走り出した。

 狙いは、城外に待機しているであろう天野勢の本隊。

299 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:22:24 ID:MY5i2l3gO [9/27]
 
(´・ω・`)「ハッ!」

 
 虎恍丸を鞘に戻し、長刀を構えながら、城内を馬で駈けていく。

 渚本介の姿を見た味方は驚いて身を引き、敵は刃を向けてきた。
 長刀を両手に構え、まずは数の多い槍を払う。

 
(#´・ω・`)「ふんッ!!」

 渚本介の払った一刀は、槍を向けていた五人の敵兵を一気に吹き飛ばした。

 渚本介の存在と、馬上刀の予想外の力に、思わず固まる敵兵達。
 恐怖の色が見えた天野勢を、渚本介が止まることなく長刀で斬り倒していく。

 その姿に勇気付けられたのか。
 乱戦に疲れ始めていた二茶根瑠勢の兵達は、新たに雄叫びを上げながら、渚本介の後に続くように敵軍に攻めていった。

 

──

300 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:23:49 ID:MY5i2l3gO [10/27]
──
 

 城外に待機する天野軍本隊。
 そこに、一人の伝令が慌てた様子で走り込んできた。
 

(;・*・)「も、申し上げます!!」


 伝令が膝を付いた先、そこには天野勢の大将が落ち着いた様子で馬に跨っている。
 

(,,゚Д゚)「…何だ」
 

 "剛拳"こと、天野擬古成。
 斬馬刀を背負い、足下の伝令を睨む姿は、周りの兵達も息を飲むほどだ。

 伝令は顔を伏せたまま、大声で用件を言い始めた。

301 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:25:01 ID:MY5i2l3gO [11/27]
 
(;・*・)「はっ!根十城内部、我が軍は未だ一階に留まり候!」

(,,゚Д゚)「…なんだと?」

(;・*・)「乱戦の中、一騎の兵が我が軍を混乱に陥れている様子!」

(,,゚Д゚)「一騎?一体誰だそいつは」

(;・*・)「はっ!恐らくは、彼の太田渚本介でございます!」

(,,゚Д゚)「!!」

 
 伝令の話が終わり、重苦しい空気が流れる。
 擬古成は少し考えるように地面を睨むと、そのまま口を開いた。

 
(,,゚Д゚)「…奴は恐らく本隊を目掛けている。乱戦を突破するくらい、奴には容易いはずだ」

(,,゚Д゚)「奴が本隊にやってくる前に、俺らは城内に入ったほうがいいな。その方が簡単に二茶根瑠巳留那の首も取れよう」

302 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:25:54 ID:MY5i2l3gO [12/27]
 
 擬古成は一旦話を止めると、横に並ぶ大男に目を向けた。

 
(,,゚Д゚)「狗久流(くくる)よ。俺らが根十城に入る為に、彼の"戦魔"の足止めを頼みたい」

( ゚∋゚)「御意に」

 
 狗久流と呼ばれた大男は、低く唸るような声で擬古成に返した。

 狗久流は他の兵達よりも頭二つ分ほど背が高く、その体躯は野獣のように大きい。
 巨大な甲冑を身につけるその姿は、まさに"鬼"の様である。

 
 擬古成が狗久流に頷き、いざ走り出そうとした途端。
 何やら、城門のほうが騒がしくなってきた。

303 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:27:11 ID:MY5i2l3gO [13/27]
 
 何事だ、と聞くまでもなかった。
 城門のあたりを騒がせている原因は、すぐに擬古成の視界に飛び込んできたからだ。

 
(#´・ω・`)「ハァッ!!」

(,,゚Д゚)「戦魔…!」

 
 馬上にて長刀を振り回し、天野勢をことごとく蹴散らしている。
 まさに魔物のような戦いぶり。"戦魔"の名に相応しく、渚本介が本隊を目掛けながら天野の兵を斬り伏せていく。
 

(#´・ω・`)「擬古成!!」

(,,゚Д゚)「ムッ…!」

 
 とうとう城門の包囲網を切り抜け、本隊に一気に向かってきた渚本介。
 その中心にいる擬古成を睨みながら、更に怒号を上げる。

304 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:29:34 ID:MY5i2l3gO [14/27]
 
(#´・ω・`)「出あえッ!!この太田渚本介、今度こそ貴様の首を頂戴する!」

( ゚∋゚)「そうはいかぬ」

(#´・ω・`)「!!」

 
 本隊に切り込む直前。
 渚本介と本隊の間に、見覚えのある大男が入り込んできた。

 
(;´・ω・`)(アイツは…)

(#゚∋゚)「せいやァッ!!」
 

 渚本介の前に立ちはだかった大男、狗久流。
 両手に握った武器を、渚本介の乗る馬を目掛けて薙ぎ払う。

305 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:30:23 ID:MY5i2l3gO [15/27]
 
(;´・ω・`)「!?」

 何の武器かはよく見えなかった。
 しかし、危険を察知した渚本介は、狗久流の攻撃が馬を捕らえる前に飛び降りた。

 直後、渚本介の乗っていた馬が、十メートル近く吹き飛ばされた。
 

(;´・ω・`)「なっ…!」

( ゚∋゚)「ふん、勘は鋭いようだな」
 

 信じられない光景だった。
 人間五人分の重さと言われる馬を、たった一撃で軽々しく吹き飛ばしたのだ。

 何が起こったんだ、と相手の武器を見る。
 大男の握る武器は、長槍の柄に斧を引っ付けたような、巨大な戦斧だった。

306 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:31:48 ID:MY5i2l3gO [16/27]
 
(´・ω・`)「…そうか、思い出したぞ」

( ゚∋゚)「……」
 

 見覚えのある姿に、見覚えのある特殊な戦斧。
 渚本介は記憶を辿りながら、話を続けた。

 
(´・ω・`)「天野家家臣、堂土狗久流。未だ擬古成の腰巾着を務めているとはな」

( ゚∋゚)「ぬかせ。貴様のような不浄者、我が戦斧の餌食にしてくれん」

( ゚∋゚)「擬古成様!今のうちに根十城へ!」

(,,゚Д゚)「ああ」

(;´・ω・`)「!!」

 
 しまった、と狗久流から目を離す。
 しかし、擬古成率いる本隊は、既に根十城へと走り出していた。

307 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:32:52 ID:MY5i2l3gO [17/27]
 
(´・ω・`)「チッ……」

 どうやら、擬古成を討つにはまず狗久流を倒さねばならないようだ。

 長刀を投げ捨て、虎恍丸をゆっくりと抜く。
 対する狗久流も、両手に構えた戦斧を渚本介に向ける。

 
( ゚∋゚)「これも武功の為。擬古成様を喜ばせる為……堂土狗久流、参る!」

(#゚∋゚)「せいッ!!」

(´・ω・`)「!!」

 
 腰を低く落とし、戦斧を横に払う狗久流。
 あまりにもリーチの長いその攻撃を、更に低い姿勢でかわす。

(´・ω・`)(…今だ!)

 長い武器を振った後は、必ず大きな隙ができる。
 それを狙って一気に飛び込む渚本介。
 しかしその攻撃を読んでいたかのように、狗久流が戦斧を短く持ち、柄の部分を振り回してきた。

308 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:33:57 ID:MY5i2l3gO [18/27]
 
(;´・ω・`)「くっ…」

 その攻撃を虎恍丸の刃で止める渚本介。
 しかし、その一撃のあまりの強さに、バランスを崩してしまった。

 
(#゚∋゚)「でいっ!!」

(;´・ω・`)「!!」

 この好機を見逃すまいと、戦斧の返し手が渚本介に迫る。
 咄嗟に飛び上がり、その一振りを避ける。
 そのまま上段から虎恍丸を振り下ろすも、戦斧の柄に防御されてしまった。

 
(´・ω・`)(クソっ…)

(#゚∋゚)「隙ありィッ!!」

(;´・ω・`)「!?」

 速い。
 あまりにも速い狗久流の四振目が、渚本介の胴に迫る。

309 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:35:03 ID:MY5i2l3gO [19/27]
 
 なんとか虎恍丸をその攻撃に合わせ、防御することができた。
 しかし。
 

(;´・ω・`)「がはッ…!!」

( ゚∋゚)「フン」

 
 虎恍丸越しとはいえ、馬を吹き飛ばす程の攻撃を受けてしまった渚本介。
 体は勢い良く弾かれ、先程の馬以上に飛ばされてしまった。

 よろよろと立ち上がり、涼しい顔で近づいてくる狗久流を睨みながら、虎恍丸を構え直す。

 
(;´・ω・`)(堂土狗久流…まさかここまでとは…)

( ゚∋゚)「どうした"戦魔"。口ほどにもなし」

(;´・ω・`)「……」

 
 あれほど柄の長い戦斧を簡単に操り、近付きすらさせない技術。
 どうすれば勝てるのか、とにかく思案を巡らせる。

310 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:36:30 ID:MY5i2l3gO [20/27]
 
 ふと、渚本介は自らの足元に何か武器が落ちていることに気付いた。
 長刀だ。先程渚本介が投げ捨てた長刀が転がっている。

 
(´・ω・`)(…なるほどな)

 一つ不敵な笑みを見せ、その長刀を拾い上げる。
 虎恍丸をしまって長刀を構えると、渚本介は自信の籠もった声を狗久流に向けた。

 
(´・ω・`)「わかったぞ、貴様を倒す術が」

( ゚∋゚)「ふん、刀が長刀になったくらいで何が変わるというのだ。…さあ、行くぞ!」

311 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:37:38 ID:MY5i2l3gO [21/27]
 
 先程と同じように、まずは狗久流がそのリーチを生かして戦斧を降ってきた。
 渚本介もまたも低い姿勢でかわし、同じように狗久流に飛び込んでいく。
 

(#゚∋゚)「何度同じ手を使おうと、俺には効かぬ!」

 今度はすぐに狗久流が返し手の攻撃を向ける。
 渚本介は、またもその攻撃を飛び越え、上段から長刀を振り下ろしてきた。

 
(#゚∋゚)「効かぬと言っとろうが!!」

 先程と同じように、柄を上に向けて防ごうとする狗久流。

 しかし、そこに渚本介の姿は無かった。

 持ち主のいなくなった長刀だけが、落ち際にコツンと戦斧の柄に触れた。

312 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:39:34 ID:MY5i2l3gO [22/27]
 
(;゚∋゚)「──え?」

(´・ω・`)「手強かったぞ、堂土狗久流」

 
 狗久流の理解が追いつかないうちに、低い位置にいた渚本介の虎恍丸が、狗久流の腹を切り裂いた。

 膝をつき、戦斧を落とし、震える声で狗久流が尋ねる。

 
(;゚∋゚)「な…何をした…貴様……」

(´・ω・`)「"形"が欲しかったのだ。その戦斧が追いつかないほどの、絶対的な隙の形が」

(;゚∋゚)「…形……?」

(; ∋ )「……そうか…そういうことか…」

313 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:41:11 ID:MY5i2l3gO [23/27]
 
 その場に崩れ落ちながら、狗久流はようやく理解できた。
 

 渚本介の言う"形"とは、狗久流の戦斧の"位置"のことなのだ。
 長い戦斧を操るのが人一倍上手い狗久流だ。360度、ほぼどの位置にいても攻撃を喰らってしまう。

 しかし、一瞬だけなら、全く攻撃を喰らうことのない条件があった。
 それは、「戦斧の位置が横向きに、かつ上段にある場合」だ。
 これならばたとえ狗久流でさえも素早い攻撃が出来ない。
 これが渚本介の言う"形"の正体なのだ。

 渚本介はこの"形"を作らせる為に、狗久流に飛び込み、上段から長刀で攻撃すると見せかけた。
 その防御の為に、狗久流は前述した"形"を作らざるを得ない。
 狗久流が戦斧をその"形"に構えた時点で、渚本介は長刀を手放し、懐に飛び込み、虎恍丸の居合いを合わせたというわけだ。

314 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:42:06 ID:MY5i2l3gO [24/27]
 
(; ∋ )「…フ……戦魔の名の通りの実力よ……俺の負けだ…」

(´・ω・`)「……」

(; ∋ )「さあ行け……俺に勝っ…た……から……に…は………」

(´・ω・`)「…ああ、わかってる」

 
 虎恍丸を鞘に戻し、冷たくなった狗久流に背を向け、渚本介は根十城へと走り出した。

 もう体は疲れきっているが、それでも走らなければならない。
 擬古成を討つ為に。そして、ブーンを救う為に。

 

──

315 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:43:33 ID:MY5i2l3gO [25/27]
──

 
(;^ω^)「早く上るお!」

ζ(゚ー゚;ζ「ま、待ってよ、ハァ、ハァ…」

 
 根十城最上階、大広間。
 長い階段を上りきり、ブーンと出麗の二人は巳留那のもとへ向かっていた。

 脱出する前に既に天野勢が来ていたので、脱出は諦め、まずは城主の安全を確保しようと考えたのだ。

 大広間の奥に玉座がある。
 この緊急事態に巳留那が玉座にいるとは思わなかったが、とにかく冷静な思考が出来ないので、ブーンは出麗の手首を引っ張りながら走っていた。

316 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:44:42 ID:MY5i2l3gO [26/27]
 
 乱暴に玉座への襖を開ける。
 そこには、意外にも巳留那が落ち着いた様子で座っていた。

 
( ゚д゚ )「…無礼者が、何しに来た」

(;^ω^)「巳留那様を連れて逃げる為ですお!てか何で悠々と座ってるんですかお!!」

( ゚д゚ )「勝てぬ戦に慌てる必要などない」

ζ(゚ー゚;ζ「……」

(;^ω^)「勝つか負けるかなんて終わってみなければわからないですお!」

 
 ブーンの剣幕に、全く引く様子のない巳留那。
 暫くブーンの方を見ると、目を伏せながら、溜め息を一つ吐いた。

 
( ゚д゚ )「残念だが、結果がわかってる場合というのもある」

(;^ω^)「ああもう!だから…」

( ゚д゚ )「なれば」

317 名前: ◆vVv3HGufzo[] 投稿日:2011/03/24(木) 22:47:25 ID:MY5i2l3gO [27/27]
 
 少し声を上げ、ブーンを差し止める。
 巳留那は視線をブーンの少し後ろに向け、顎で指した。

( ゚д゚ )「なれば、アレをどう説明する」

( ^ω^)「アレ?」
 

 ゆっくりと振り返る。
 途端、ブーンは危うく腰を抜かしそうになった。

 
(,,゚Д゚)「そいつの言う通りだ南蛮人。抗えない勝敗というのは、確かに在る」

 天野擬古成。ブーンにとっては悪魔のような男が、そこにいた。

 
(;^ω^)「う、嘘だお…こんなに早く…」

(,,゚Д゚)「悪ぃが、俺はせっかちでね」

 背中に掛かる大きな鞘から、斬馬刀を抜く擬古成。
 その口元が、不気味に歪んだ。

 
(,,゚Д゚)「全員、死んでもらうぜ」
 

第九話 終





( ^ω^)戦国を歩くギタリストのようです 第十話
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