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('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 三話 2011年03月29日 ('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです トラックバック:0コメント:0


165 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:21:33 ID:GkD/7Z4s0 [3/65]

※注意
・元ネタ有り
・モンスターや装備についての独自解釈満載
・登場人物をAAに無理矢理変更している場合があります

まとめ

即席ブーン様 http://eksr.blog115.fc2.com/blog-category-20.html

フェレット速報様 http://xn--hckwcp3c2c5ce5k.com/

かぎまとめ様 http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-2217.html

避難所 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1300286882/

※漏れがある可能性小

166 名前:登場人物[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:22:17 ID:GkD/7Z4s0 [4/65]
【ハンター】

●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:ドンドルマの英雄】
HR:6 
所属猟団:無所属
使用武器:???(双剣)
防具:ナルガXシリーズ
現在地:ユクモ村へと帰還中

●(,,゚Д゚) ギコ=ストッドウッド
人間
26歳 【称号:???】
HR:5
所属猟団:荒鷲団
使用武器:???(大剣)
防具:???シリーズ
現在地:???

●ζ(゚ー゚*ζ デレ=ツンデレート
人間
21歳 【称号:無し】
HR:4
所属猟団:ユクモギルド
使用武器:フロギィリボルバーⅢ(弓)
防具:マギュルSシリーズ
現在地:ユクモ村へと帰還中

167 名前:オトモ[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:24:00 ID:GkD/7Z4s0 [5/65]
●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇
現在地:ユクモ村へと帰還中

168 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:24:55 ID:GkD/7Z4s0 [6/65]

信頼というのは、実に厄介な物である。    目には見えず、人に確かめることも出来ない       そしてなにより、それは狩りに絶対に必要な物なのだから。


                   ―――ナイトリーダー 騎士長フォックス―――

169 名前:3-1[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:26:12 ID:GkD/7Z4s0 [7/65]

帰り道、いきなりの雨。ギギネブラの狩猟を終え、一日が経った。ユクモから凍土までは丸二日かかるのだが、ドクオ達はかなりゆったりとしたペースでその道を進んでいた。

というのもオトモであるツーが、大気の震えを感じてなかなか進みたがらないのだ。

そう言うツーに、ドクオは特に何も言わず歩幅を合わせて歩いていた。  デレは、そんなドクオとツーの少し後ろを歩いている。

これは特に位置取りを気にしての事ではなく、ただ単にデレがドクオに遠慮してしまっているからだ。

空には分厚い雲が現れ、昼間だというのに辺りは薄暗い。

といっても、時刻は午後三時。明かりが全く灯っていないこの辺りでは、安全を確保する為に、移動出来るのは精々午後六時まで。

ζ(゚ー゚*ζ(ギルドに着くのは明日になっちゃうなー)

特に急を要する案件もないし、寧ろ私に今課せられた依頼はドクオさんの監視だ。 私だけ先に帰るわけにもいかない。

しかし、帰ったらどうギルドに報告をすれば良いのだろうか。

あの驚くべき動き、経験に裏付けされた的確な判断。 今ならば最初に見た時、頼りないと思ったあの細い身体の意味も分かる。

彼の最大の武器であるスピードを生かす為の、あの身体なのだ。

不必要な部分を極限まで削り取った完成形が、彼なのだ。

このデレの予想は、半分当たっている。ドクオは、自分の武器である瞬発力を生かすのに必要のない筋肉は鍛えず、狩りに必要な部分のみを鍛え上げていた。

170 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:27:51 ID:GkD/7Z4s0 [8/65]
('A`)「―――♪」

ζ(゚、゚*ζ「………」

今も鼻歌を歌いながら、ツー様から借りたブーメランを投げて、見事に兎に命中させている。

ドクオさんと狩りに出て五日。 一度も食料を採集しに行っていない。勝手にドクオさんが、野兎やら猪やらを狩ってしまうのだ。

ギルドから配給されている携帯食料にも、まだ手を付けていない。

ドクオが、「ギルドの携帯食料は保存が効くので、本当に必要な時に食べれば良い」と言うからだ。

('A`)「……そういえば、君」

ζ(゚ー゚*;ζ「はっ、はいっ!」

いきなり、ドクオさんに呼ばれて声が裏返ってしまった。  ドクオさんについて考えていた所で本人に声を掛けられたからだ。

('A`)「ユクモ特有の飛竜は何種くらいいるんだ?この辺りには轟竜や迅竜も生息していると聞いたことがあるが」

ζ(゚ー゚*ζ「そうですね。ティガレックスやナルガクルガも居ますよ。他にユクモ村特有の飛竜種となるとベリオロスや先日狩ったギギネブラなどですね」

牙獣種や、鳥竜種は地方によってかなり多種多様な種類がいるが、飛竜はあまり多くの種類は存在しない。まず器がちがうからだ。前者は、歩行移動のため余り遠くには行けないが
飛竜は飛行移動するのでかなり広範囲の縄張りを持っている。だからこそ牙獣種などの生存競争はその地方でのみ行われるが、飛竜は文字通りこの世界すべててで行われている。

171 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:28:39 ID:GkD/7Z4s0 [9/65]
('A`)「成る程な。基本的にドンドルマとほとんど変らないわけだ。ここまできて迅竜や轟竜の顔は見たくなかったが、仕方ないな」

ζ(゚ー゚*ζ「でも、ユクモ独特のモンスターはまだ沢山いますし、それにこの地方独特の行動とかもあるみたいですよ。   私はユクモのモンスターしか見たことがありませんが」

('A`)「……そうか」

それを聞いたドクオさんの顔は、どこか嬉しそうでした。やはり狩人の血が騒ぐのでしょう。見たことの無い土地、見たことの無いモンスター。私はまだその境地に達することが出来ません。

飛竜と戦うのは、やはりいつも怖い。傷つくのも怖いし、死ぬのも絶対に嫌だ。でもやめられない。こんな中途半端な気持ちでこの先やっていけるのだろうか、と不安になることは間々あった。

ζ(゚ー゚*ζ「最近では“疾風緑迅”や“黒虎轟竜”と呼ばれているモンスターもいるそうです。本当かどうかは知りませんが。
ユクモでは亜種と呼ばれる存在なんてほとんど確認していませんでしたから」

('A`)「亜種か」

ζ(゚ー゚*ζ「亜種なんて、本当にいるんでしょうか……」

('A`)「亜種は確かにいる。ドンドルマで幾つか見たことがある。亜種とういよりもアレは別の進化をした何かだな。   肉質も弱点も、何もかもが違う。ただ形が似ているだけだ。
名を挙げようと何人もの狩人が挑んだが、凡そ返り討ちにあっていたよ」

でも、とドクオさんは少し間を置いて言った。

('A`)「俺達狩人は矛だ。ギルドの人達に危害が及ぶとなればそれを放って置くわけにはいかない。狩れと言われれば狩る。
というか、俺達は狩る事しか出来ない」

これが完成された狩人の姿、心持なんだな、と感じた。狩人に志願した以上、少しでも上を目指す。その姿勢はユクモの狩人だけのものではないんだ。

172 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:29:08 ID:GkD/7Z4s0 [10/65]
(*゚∀゚)「それに最後までオトモするのがオレっち達の役目にゃんだニャー」

さっきからずっとピリピリしていたツー様が、多少和らげながら言った。
ツー様はなかなか、いや結構、ううんかなりドクオさんに懐いていた。

(*-∀-)「楽チンだニャー」
('A`)「……」

長年付き従った主人とオトモのように、なんの違和感も無く、暖かな空気も醸し出している。

('A`)「そういえば、君の妹さんはどうしてる?」

ζ(゚ー゚*ζ「デレで良いですよ、ドクオさん。私の妹も狩人をしています。一昨日話した幼馴染の男の子と一緒によく狩りに出かけてます」

('A`)「そうか、妹もデレと同じような気持ちで狩人になったのか?」

いいえ、と私は首を振った。

ζ(゚ー゚*ζ「ツンは私と違って強い子ですから、お祖母ちゃんのため、というよりは皆のためですね」

それもなかなか難儀だな、とドクオさんは答えるというより呟くように言って黙った。

ζ(゚ー゚*ζ「まだまだ新米なので、今は村のためというより幼馴染の男の子と一緒にいるため、という感じですね!」

173 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:29:34 ID:GkD/7Z4s0 [11/65]
幼馴染、その言葉を聞いてドクオに懐かしい記憶が甦った。

自分にも確かにあった新米の頃。どの道を歩くのもビクビクしていた。モンスターを見れば最初に感じるのは恐怖。
あの時の自分は理由など無くただ“アイツ”に言われるがまま狩人をしていた。

川 ゚ -゚)『おい、ドクオ。どうして私の言ってることが出来ないのだ』

(;'A`)『おいおい……そんな事言われたって……』

川 ゚ -゚)『グイーンと引っ張って、バーってブチ破って、突き刺すんだ』

('A`)『はぁ、その理論を本当に自分のものにしちまってる所がクーの凄いところだよ』

川 ゚ -゚)『なんだと!?私は凄いのか……』

('A`)『あー、凄い凄い。だから俺には弓なんて使えないって。俺は近距離、クーが遠距離から弓で援護。
それが一番相性のいい形だよ』

川 ゚ -゚)『むぅ……しかし』

('A`)「俺はクーだからこそ、馬鹿みたいに突っ込んでいけるんだよ。だから今のままで良い」

川 ゚ -゚)『……なにか巧くのせられた気がするぞ』

174 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:29:55 ID:GkD/7Z4s0 [12/65]
('A`)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん?」

('A`)「あぁ、すまない。少し昔を思い出してた」

二人の会話を黙って聞いていたオトモがここぞとばかりに口を挟む。

(*゚∀゚)「ニャー!ドクオの昔の話気ににゃるニャー!」

デレやツーにとって、このユクモが全てなのだ。世界は確かに広けれども、二人はユクモ以外の世界を知らない。
外に興味を示すのも当然だった。目を輝かせる二人。

('A`)「うーん、大してここと変わらないぞ。ただ狩人の絶対数は確実にドンドルマの方が多かったな。
それに加えて、狩人のレベルは凄く高かった。中でもG級の狩人は一線を画していたな。なんというかモンスターより化け物じみた奴らがいた」

(*゚∀゚)「流石は狩人の聖地だニャー」

175 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:30:28 ID:GkD/7Z4s0 [13/65]
ζ(゚ー゚*ζ「G級というのは噂で聞いたことがありますが、先日のドクオさんを見て納得しました」

('A`)「……俺なんか大したものじゃない。ティガレックスの突進を素手で受け止めるような奴もいたからな」

ドクオの呟きに言葉を失う二人。あまりに異常。圧倒的身体能力とヒトの何十倍の体躯を誇る飛竜の、そのなかでも最凶のティガレックスの
突進を素手で受け止めるなんて。

その発想自体が正気の沙汰ではない。

『広い視野と大きな度量を持つこと』

それも狩人にとっては大事なことだと、ドクオはそこで区切って話を終えた。

時刻は夕方になる頃、そろそろ歩くのをやめキャンプを設営しようかという時間になっていた。

176 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:31:55 ID:GkD/7Z4s0 [14/65]
雷狼竜の存在、それをユクモギルドが確認したのは六百年ほど前のことだ。切っ掛けは突然の雷光虫の消失。
雷光虫は、人の生活に密接に関係する重要な虫だ。夜を照らす街灯だったり、狩人を安全に狩場に案内する道標でもある。
そんな雷光虫が一気に取れなくなった事を深刻に見たユクモ村の村長が、ギルドに調査を依頼したのが始まりだ。

雇われたのは四人の狩人、全員HR3の狩りに慣れた者達であった。

ギルドも調査だけなら簡単に済むだろうと、事態を軽んじていたのだ。

結果、四人が渓流の中で発見された。無事ではなかったが。ヒトは脳や脊髄から発せられる微弱な生体電気の命令を受け行動する。
帰ってきた四人はその生体電気を完全に狂わされていたのである。自分の意思で行動することが出来なくなっていたのだ。

これに驚いたのはギルドだ。今までこんな事は一度も無かった。クエストで死ぬ人間はいたが、このような事態は初めてだった。
すぐに浮き彫りになった新種の存在。

/ ,' 3「今後、このモンスターの撃退が終わるまで、一切の渓流への狩りを禁ずる」

ギルドマスターの判断は的確だった。この後送り出されたHR6、つまりギルドを背負う凄腕の狩人たち四人によって行われた撃退戦で
一人が死亡、もう一人が再起不能となったからだ。

これを新米狩人達が行ったならば、もっと悲惨な結果になっていただろう。

その後、新種の撃退が確認されギルドはこのモンスターを【雷狼竜】と命名した。

曰く、無双の狩人

曰く、雷雲を司る者

曰く、ユクモの守り神

この事があって、ユクモ村は【雷狼竜】を奉る事にした。被害を受けた六人の偉大な狩人を偲び、いつかその領域に届くようにと。

177 名前:3-2[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:32:44 ID:GkD/7Z4s0 [15/65]

ζ(゚ー゚*ζ「そういえば、ユクモにはクルペッコという変わったモンスターがいるんですよ」

('A`)「ほー、そいつもドンドルマにはいなかったな」

最初は妙に遠慮していたが、一度話し出すととまらなかった。ギギネブラと相対しているときに見たドクオさんの背中は、随分と小さく見えた。
だからこそ、話しやすかった。

キャンプの準備をしながらも、デレはドクオに話しかけていた。


Gyaaaaaaaaa


ζ(゚ー゚*ζ「そうそう、ちょうどこんな感じの鳴き声で……!?」

(*゚∀゚)「!! なにかいるニャ!」

('A`)「……ツー、どんな奴か確認してきてくれ。恐らく先ほどの咆哮からして南南西に少し行った所だろう」

いきなり空気が張り詰めた。モンスターの咆哮、それが明らかに戦闘中に出す物だったからだ。

ツー様が地中に潜り、ドクオさんに言われた方向へ静々と向かっていった。

178 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:33:40 ID:GkD/7Z4s0 [16/65]
('A`)「デレ、準備をしておけよ。これは緊急クエストになるかもしれない」

ζ(゚ー゚*ζ「はい」

背負っていた弓を再び取り出す。弦は外しておいた。それを末弭と本弭に結びつけた。数秒とかからない。
弓使いである自分が、一番最初にいつも行う作業である。
だからこそ、そのスピードは一瞬だった。

('A`)「……どんなやつだと思う?」

ζ(゚ー゚*ζ「……凍土からはかなり離れました。一番ここから近い狩場というと渓流ですから、もしかしたらそこからここまで戦いながら移動して来たのかもしれませんね」

渓流、嫌でもあのモンスターの顔が浮かぶ。あの奇妙な踊り、そして厄介な声真似。

先ほど、自分がドクオさんに言おうとしたあのモンスター。

('A`)「ビンの予備は十分か?」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫です!ギギネブラとの戦闘ではほとんど消費しませんでしたから」

というより、ドクオさんに見惚れていてビンを使うのを忘れていた。

地中が盛り上がり、そこからアイルーが飛び出してくる。

('A`)「ツー、どうだった?」

(*゚∀゚)「分かったのニャ!さっきの鳴き声は【彩鳥】クルペッコだニャ!戦ってるのは二人、ブーンとツンだニャ」

179 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:34:39 ID:GkD/7Z4s0 [17/65]
ζ(゚ー゚*;ζ「本当ですか!?」

余りに馴染み深い名前に耳を疑う。ツンがもうクルペッコの狩猟を行っているのか。

(*゚∀゚)「多分採集に来て鉢合わせてしまったんだろうニャー」

ζ(゚、゚*;ζ「早く応援に向かわないと……」

('A`)「落ち着け、デレの顔見知りとはいえいきなり乱入していくのは不味くないのか?」

以前記した通り、狩人とは誇り高い生き物なのだ。例え自身が危機に瀕していようと、他人からの助けを拒むことは
往々にしてよくあった。

考える、ツンの性格を。あのプライドの高い気性。人当たりのきついところを考えると確かに良い顔をしないかもしれない。

ζ(゚、゚*ζ「……でも」

('A`)「とりあえず様子を見る、行くぞ」

考えても、考えても、どちらが正解なのかは分からない。
そして、その正解を導き出すまでの時間は、私達には無かったのだ。

180 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:35:05 ID:GkD/7Z4s0 [18/65]

どうしてこんな事になったのか。隣の家のお婆ちゃんが風邪を引いて大変だったから『ケルビの角』を採ってこようと思いついたのが始まりだった。
いつものように幼馴染のツンを誘って渓流まで採集に向かった。

狩猟環境不安定とは受注欄に書いてあったが、ケルビは比較的低地に生息しているので問題ないだろうと判断した。
ミセリ姉さんだって大丈夫だと言っていたし、HR1の自分でも採集クエストは単独で受注できるのに。

(;^ω^)(なんでこんな奴と合っちゃうんだお)

目的のエリアに着くと、思いのほかケルビが多くいたため剥ぎ取りに時間がかかってしまった。
ケルビの角は貴重だ、なにより頭数が少ないのでハンマーで軽く殴りつけ気絶させている間に角を折った。

こうする事によって、ケルビを殺さずに角だけを剥ぎ取ることが出来るのだ。

ツンはボクが気絶させたケルビから、角を剥ぎ取ってくれていた。

そうすることにボク達二人は夢中だった。

だから気が付かなかった。背後から近づく【彩鳥】の存在に。

最初はクルペッコも水を飲みに来ていただけだったのだろう。だからこそ、モンスター独特の威圧感を感じ取ることが出来なかった。
そこで気が付いていれば、ボクがツンを止めていれば、クルペッコは悠々と水を飲み去っていたのだろう。

しかし、あそこで通常弾Lv1を撃ったツンを責める事は、ボクには出来なかった。

181 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:36:38 ID:GkD/7Z4s0 [19/65]
途端に空気が重くなったのを覚えている。クルペッコがこちらに気が付いたのだ。

クルペッコが両翼を広げた。大きい、先ほどまでドスジャギィ程度の大きさかと思っていたのに。
息を呑んだ。それは隣にいたツンも同じだったようだ。

クルペッコが翼先に付いている火打石を叩き合わせる。この時、自分が動けたのは運が良かっただけだ。
ツンを守らなくては、その気持ちが自分を動かしてくれた。

(;^ω^)「逃げるお!!!!」

未だに動かないツンの手を乱暴に握り一気に駆け出す。もうどこに向かって走っているのかも
分からなかった。ただ逃げたい、このモンスターからツンを守りたいという一心だった。

気が付けばギルドが指定する狩場を大きく逸れた場所まで来てしまっていた。

(;^ω^)「ハァハァ……」

ξ;-⊿-)ξ「……」

( ^ω^)「ツン、大丈夫かお?」

ξ;-⊿-)ξ「ハァ……大丈夫な訳ないでしょ!なんであんなところにクルペッコがいるのよ!」

(;^ω^)「ボクにもわかんないお」

クルペッコはギルドが指定するHR昇級クエストの対象となるモンスターだ。また、そのモンスターの特性ゆえにギルドが厳しく管理しているはずだった。
それが何故ギルドの監視の網を抜けて、あんなベースキャンプに近いところまで降りてきていたのか。
しかし、今はそんなことよりも近づいてくる羽ばたき音をどうにかしなければ。

182 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:37:06 ID:GkD/7Z4s0 [20/65]
( ^ω^)「もうこうなってしまったら仕方ないお。ボク達で奴を撃退するしかないんだお」

ξ;゚⊿゚)ξ「撃退って言ったってどうすれば良いのよ!? 私とアンタはHR1、新米もいいところ!それに私は採集だって思ってたから弾も通常弾Lv1くらいしか持ってないわよ!」

わかってるお、と怒鳴りたいのを辛うじて抑えた。

誰かの責任にするのは簡単だ。しかしそれを他人に押し付けたところで、だれも助けてはくれないのだ。

それならば今出来ることをやるのみ、だ。

( ^ω^)(ツンは、僕が護るお)

舞い降りる一匹の鳥に目を向ける。クルペッコの狩猟を受けられるのはHR2から。まだ狩人になったばかりの自分には大きすぎる敵だ。
でも今、ツンを護れるのは自分だけだ。

そう思うと身体の奥底から力が湧いてきた。

ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン」

( ^ω^)「……ツンは下がってるお。僕がやるお」

ξ゚⊿゚)ξ「でも……」

何か言いたそうなツンに背を向けた。


それは拒絶だった。

183 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:38:30 ID:GkD/7Z4s0 [21/65]

('A`)「……あれが幼馴染みの男の子か」

ζ(゚ー゚*ζ「えぇ」

なるほどな、と言ってドクオさんは握っていた双剣を背に戻した。

ζ(゚ー゚*;ζ「応援に、向かわないんですか!?」

('A`)「……あぁ。万が一の為に準備はしておくがな」

ζ(゚、゚*ζ「……私は」

手に持っていた弓を、ギュッと握り締めた。折ってしまいそうな力で。

('A`)「心配するな……と言っても無理な話か」

ζ(゚、゚*ζ「すいませんが……」

うーん、と頬を掻いて少し恥ずかしそうにドクオは言った。

('A`)「なんというか凄く不確かな物になるんだがな」


『こんな時の男は絶対に負けない』

ζ(゚ー゚*ζ「………」

('A`)「女性には、多少分かりづらいかもしれないがな」

184 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:38:56 ID:GkD/7Z4s0 [22/65]



デレは意外に思った。ギギネブラとの戦いで見せたあの的確な判断力と行動力、あれはドクオの元来の性格が冷静沈着な事から出来る物だと思っていたからだ。

でも、照れ臭そうに頬を掻く今のドクオを見ればそんな風には思えなかった。

また、それを踏まえてドクオの本質を見極める力は今のデレには無かった。

('A`)「静かに見守ろう」

ζ(゚ー゚*ζ「……はい」

185 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:39:25 ID:GkD/7Z4s0 [23/65]

背中に携えていたハンマーを抜き取る。見据える先には【彩鳥】クルペッコ。

黄と紫の羽が入り混じった身体。奇抜に尖った嘴。翼の先に持つ火打ち石。

実際に相対したことは無いが、文章では幾度も読んだ。

お前の事はよく知っているぞ、彩鳥。ブーンは普段の人懐っこそうな目を存分に釣り上げて睨み据える。

―――そして

( `ω´)「うおおぉぉおお!!!」

吠えた。

以前飛竜の咆哮について記述したが、狩人の咆哮はまた違った意味を持つ。

飛竜のそれは、相手を威嚇するだけの叫び。しかし、狩人のそれは違う。

相手を威嚇するだけでなく、自分を鼓舞する咆哮。

勝つ、勝ってみせると自分に言い聞かせる決意の証。

186 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:39:53 ID:GkD/7Z4s0 [24/65]
だからこそ、先手を取ったのはブーンだった。

身体を存分に捻り、その体勢のまま走りだす。

目指すは奇妙な踊りを続ける【彩鳥】クルペッコ。   速さは無い。必要無いのだ。

クルペッコは侮っていた。常日頃飛竜の存在に怯えている自分だが、この程度の小さな存在に脅かされるはずがないと。

(#^ω^)「ふおぉぉぉおお!!!!」

だからブーンの一撃は届いた。

素早く力を溜めてから走りだした勢いのまま繰り出す“カチ上げ”。

それがクルペッコの頭を揺らした。

堪らずクルペッコは、踊るのを一旦止めて翼を広げる。

(;^ω^)「……」

それだけでブーンは一歩退がらざろうを得なかった。  これはブーンが自らの意志で退いた訳ではない。ヒトであれば誰しもが、その大きさに怯んでしまうのだ。

絶対に忘れてはいけない。モンスター達に本能があるように、ヒトにも本能があるのだ。

モンスターもヒトも、等しく動物なのだから。

187 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:40:53 ID:GkD/7Z4s0 [25/65]
(#^ω^)「やってやるお!ツンはボクが護るんだお!!」

それでもブーンは、自分の無様に震える脚を叩き、もう一度駆け出した。

振り絞った小さな勇気を誉めるべきか、無謀な蛮勇を諫めるべきか。

経験不足の新米が、気安く叩ける程、【彩鳥】は優しくないのだ。

例えば、クルペッコが翼を広げたまま一回りするだけで

(;^ω^)「くっ……」

人間の身体など簡単に動けなくなるのだ。

そしてこの行為が蛮勇と言われるのは、今ブーンが攻めの姿勢でいる事にある。  クルペッコの前に曝け出された余りに無防備なブーンの身体。

クルペッコは一歩、たったの一歩でブーンとの距離を詰め、重厚な嘴でブーンを軽く突いた。

(メ^ω^)「グハッ……」

クルペッコにとっては、軽くともブーンにとっては、尋常ではない衝撃。

鋭い痛みがブーンの右肩を襲った。

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!?」

ツンも動揺を隠せない。初めてだったのだ。生命の危機に瀕するモンスターと戦う事が。

188 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:41:30 ID:GkD/7Z4s0 [26/65]
(メ^ω^)「大丈夫だお、擦っただけだお」

ツンは、ブーンを追いかけて狩人になった。狩人になれば村の人も喜んでくれるし、前と変わらずにブーンと一緒に居られる。

そして、いつか二人で一人前の狩人になって村の皆を護る槍となるのだ、と。

そう思っていた。

その夢が今閉ざされようとしている。

目の前でふざけた踊りを舞っている【彩鳥】のせいで。

それを許せる程、この勝ち気な少女は純朴ではなかった。

ふざけるな。高々“鳥風情”に私達の夢を摘ませたりはしない。

少女も覚悟を決めた。

素早く背後に背負ったライトボウガンを取り出す。

189 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:41:49 ID:GkD/7Z4s0 [27/65]
デレから【狙撃手】ガンナーの何たるか、という手解きは数え切れない程受けていた。

ガンナーは自分の武器を大切にする。

【剣士】ストライカーが、武器の整備を怠った所で、切れ味が落ちるだけだが   ガンナーが整備を怠れば、照星や銃口がズレてしまい味方の誤射。つまり仲間の命に関わる問題となるからだ。

だからこそ採集クエストであろうとも、武器の手入れは入念にしていた。

問題は弾丸。自分が持っている弾丸は二種類。

通常弾Lv1と、もう一つ。通常弾Lv1は、大量に持っているが如何せん威力が低い。

だからこそ考えなければ。どうすればブーンの事を助けられるのか、を。

ブーンは未だに、二撃目をクルペッコに与えられていない。しかし、少しずつ自分から遠ざかっていた。

ξ゚⊿゚)ξ(ブーンが……私だけを逃がそうとしているの?)

多分、いや、きっとそうに違いない。

190 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:42:12 ID:GkD/7Z4s0 [28/65]
ξ゚‐゚)ξ「……あのバカ」

そんな事、絶対にさせない。第一、ブーンは私が『ブーンを囮にしている間に逃げよう』なんて考えると、本当に思っているのだろうか。

いや、これはきっとブーンの“信頼”なんだ。

私ならブーンの意志を汲み取ってくれると信じてくれているのだ。

(メ^ω^)「こんのぉぉおお!!!!」

先ほどからブーンが繰り出す攻撃は、ただの威嚇でしかない。出来るだけ素早く、広範囲にハンマーを振るう。その全ては、クルペッコに躱され、その度に手痛い反撃を食らっていた。

それでもブーンは倒れない。ツンが逃げる時間を稼ぐまでは、倒れる訳にはいかない。

(メ^ω^)(逃げてくれお、ツン)


ξ ⊿ )ξ「………」

自分だからこそ、ブーンの一番近くにいる私だからこそ、その気持ちは痛いほど伝わってきた。

191 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:42:32 ID:GkD/7Z4s0 [29/65]
ブーンの気持ちを尊重するならば、この行動は間違いなのかもしれない。

これは、ブーンの想いを踏み躙る事なのかもしれない。



それでも私は




「自分を囮にして欲しいだなんて………」


ξ#゚⊿゚)ξ「そんな“信頼”は糞食らえなのよ!!!!!!」


クルペッコに向けて、引き金を振り絞った。

精一杯の“信頼”を込めて。

192 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:49:25 ID:GkD/7Z4s0 [30/65]
   狙撃手の才能?     そんなもんはねぇさ。  弛まぬ努力と強い気持ちだろ。  
        まぁ、強いて才能という言葉を使うならば

         “良い眼”をもってるか、だろーな。


        ―――One Shot Killer ジョルジュ=ランドロ―――

193 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:49:52 ID:GkD/7Z4s0 [31/65]
('A`)「!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「ツン……」

ブーン達の戦場から400m程離れた小高い丘。何気なくドクオが選んだこの場所は、確かにツン達を見るには適した場所だった。そこで様子を窺っていた二人は、具に戦場の異変を感じ取っていた。

('A`)「退屈しないな、ここも」

ドクオは、ドサッと地べたに座り先程捕まえた兎を捌いていた。

ζ(゚、゚*;ζ「……落ち着いてますね」

一方、デレは気が気ではないようだ。立ったり座ったり、歩いたり止まったり、一目見ただけで落ち着きを失っていると分かる。

('A`)「焦る気持ちは分かる。だが、まぁ。あんな必死な二人を見るとな。なかなか手を出せん。    それに言っただろ。あの男は勝つよ。そういう風になってんだよ」

ζ(゚、゚*ζ「……すいません。私、今意地悪言いましたね」

気にするな、と焚き火を用意しながら本当になんとも思ってない風にドクオは答えた。

('A`)「まぁ、ツーには地中で待機してもらってる。本当に危うい一瞬はツーが助けてくれるだろう。   それから俺達が駆け付ければ良い」

はい、と答えたデレだが手に持っていた弓を背に戻す事はしなかった。

194 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:50:13 ID:GkD/7Z4s0 [32/65]
('A`)「俺達は、あいつらが勝った後に誉めてやるだけだよ」

黙々と夕食の準備を行うドクオ。

川から汲んできた水に塩を入れ、それで先程の兎肉を揉む。こうして兎独特の獣臭さを消すのだ。

この一手間をしてから、少量の塩をまた塗し、それから火にかける。

ζ(゚、゚*ζ「ドクオさん、手際が良いですね」

ん、とドクオはまた頬を掻く。

('A`)「これは、ドンドルマ地方の狩人なら普通の事だよ。ユクモが温泉を基盤に成長したギルドならば、ドンドルマは食を基盤にして成長したギルドだからな」

だから慣れてるんだよ、とドクオは少し照れ臭そうに言った。

もくもくと上がった煙りが、肉の焼ける香ばしい薫りと共に麓へと下っていった。

195 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:50:37 ID:GkD/7Z4s0 [33/65]

感じた。一発の弾丸が自分の脇をすり抜けて行くのを。

( ^ω^)「……まったく困った幼馴染みだお」

発射地点は、自分の40m程後方。見なくても分かる。ここにいるのは二人だけ。ボクとツンだけだ。

ξ゚⊿゚)ξ「……変な気を遣わないで。身体に悪いわ」

来てほしくなんてなかったのに。

そのままボクを囮にして、安全な所まで逃げて欲しかったのに。

( ^ω^)「ボクの気遣いは、毒か何かかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ギギネブラ並みの威力だったわ。本当に気持ち悪いったらありゃしない」

(;^ω^)「ちょっ、ツンはギギネブラなんて狩った事ないお?」

あら、そうだったわね。ツンは普段交わしている軽口と全く変わらない雰囲気で答えた。

ξ゚⊿゚)ξ「……もう少し、私達が強くなったら狩りに行きましょ」

その一言で十分だった。

あぁ、きっと狩りにいこう。何度でも。ツンと一緒ならきっとボクはいつまででも戦える。

196 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:50:57 ID:GkD/7Z4s0 [34/65]
だから今は







ξ#゚⊿゚)ξ『 こ の ク ソ 鳥 を ぶ っ 飛 ば す !!!』(^ω^#)

197 名前:3-3[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:51:59 ID:GkD/7Z4s0 [35/65]
ツンの放った弾丸は、見事にクルペッコの眉間に命中した。

しかしただそれだけ。不意打ちではあったが、余りに威力が無さすぎた。

そんな事は百も承知。ツンはブーンから離れ、そしてクルペッコからも離れ、冷静に見つめていた。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン。私の事、“信頼”してるわよね?」

( ^ω^)「勿論」

ξ゚ー゚)ξ「……そう」

幾度も、クルペッコの嘴によって啄まれたブーンの身体。動く事もままならないであろう攻撃を受けてなお、ブーンの身体は活力に満ちていた。

先程までの柄を長く持ち、出来るだけ広範囲、高威力を狙った大振りから     柄を短く持ち、素早く振るえるようにした。

リーチは短いが、瞬発力に自信のあるブーンは、この持ち手を生かしたヒット&アウェイの戦い方が持ち味なのだ。

武器をギリギリまで持たず、全力で走り敵に近付いて素早く武器を抜き、一撃を加えて離れる。

謂わば、ハンマーによる抜刀術。

これこそが、ブーンの強みなのだ。

198 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:53:01 ID:GkD/7Z4s0 [36/65]
着実にクルペッコに傷を負わせていた。  しかし、クルペッコもやられてばかりではいない。

元々ヒトの数倍の身体を持つ、【彩鳥】クルペッコに通常の戦術など通用しない。
なにせ、奴はブーンが全力で走った距離を三歩とかからず詰めてくるのだから。

その勢いのまま繰り出される突き。それがブーンを何より苦しめていた。

一発殴れば、三発突かれる。
問題なのはブーンがクルペッコから遠ざかる時に、背を向けること。無防備な背中を見逃す程、【彩鳥】は甘くない。
しかし、その構図が、ツンによって一気に塗り替えられる。

ξ゚⊿゚)ξ「そこよ!ブーン!」

後ろからクルペッコの動きを注意深く観察していたツンが、クルペッコの死角となる場所を探して、そこに通常弾Lv1を撃ち込んでいるのだ。

攻撃に参加せず、ブーンの攻防を見守っているだけのツンにとって、それは容易かった。

そして、弾が打ち込まれた場所にブーンが飛び込む。   こうしてクルペッコのカウンターは封じられた。ブーンは、的確にクルペッコの頭を狙いハンマーを打ち据えていく。

段々と、執拗に蓄積されていく痛みにクルペッコは、怒りを覚えた。

しかし、クルペッコには理解出来ないのだ。今、ツンが行っている事の意味が。だから、何も出来ない。ただ、されるがままの状態が続く。

これは、普通のパートナー同士が出来る芸当ではない。

支援者が、相手の事を本気で護りたいと願い

攻撃者が、支援者の事を本気で信頼していないと出来ないやり方だ。

これが本当の“信頼”。何物にも代え難い、狩猟において絶対に必要な要素なのだ。

199 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:53:59 ID:GkD/7Z4s0 [37/65]
この袋小路を脱出するにはどうすれば良いのか。

彩鳥の選択は正しかった。飛翔、クルペッコは空に舞い、二人との位置取りを替える事を選んだ。

ξ;゚⊿゚)ξ「やられたわ!!」

着地地点は、ツンとブーンの中間地点。

(;^ω^)「おっ!」

二人は綺麗に分断されたのだ。

これでは、ツンはブーンに死角を教える事が出来ない。それに、援護をしようとクルペッコに弾を撃ったところで全く意に介さないだろう。

それでこちらを攻撃してくるような事があれば最悪。

二人のコンビネーションは、クルペッコの“飛ぶ”という一つの動作で封殺された。

ブーンは透かさずクルペッコの足元に飛び込んでいく。
先程までのやり方は、使えないがそれでもコイツの意識をツンに向ける訳にはいかないからだ。

(メ#^ω^)「おおぉぉおお!!!!!」

ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン」

考えるんだ、私。なにか打開策は無いのか。この難局を乗り切る事は出来ないのか。

クルペッコに見つからずに、ブーンの後ろに回り込んでみてはどうだろう。

いや、また飛ばれて同じ事の繰り返しになるだけだ。    様々な選択肢が頭に浮かんでは消える。

200 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:54:27 ID:GkD/7Z4s0 [38/65]
ξ゚⊿゚)ξ「!!」

その時、匂いがした。この場所には似合わない、鼻を擽る良い匂いが。

見付けた。小高い丘の上、そこから私を心配そうに見つめている見知った人を。

ξ;゚ー゚)ξ「……全く、我ながら良いお姉ちゃんを持ったもんだわ」

ならばやる事は決まった。限界まで自らのライトボウガンに詰めていた通常弾Lv1を全て取出し、あの弾を込める。

もし採集の際、大型と出くわした時の為に、持ってきていた弾丸。

出来れば、クルペッコの翼に。

それも、クルペッコの痛点が一番集中している翼の根元に当てたい。

ガキ、っという音を立てて装填された一発の弾丸。

外さない、外せない。

この一発は絶対に。

ブーンは、今必死に私に注意が向かないようにクルペッコを攻撃してくれている。

私が何とかしてくれる、という信頼の元に。

201 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:54:52 ID:GkD/7Z4s0 [39/65]



だから、私はただ狙い撃つのみ。

引き絞られ、放たれた弾丸は、私の目線と寸分違わぬ所へと命中した。

202 名前:【幕間】[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:55:41 ID:GkD/7Z4s0 [40/65]

「デレ、弓を構えろ」

確かにそう言われた。今まで平然と、二人の戦いを静観していたドクオさんが、急に立ち上がった。

ζ(゚ー゚*;ζ「はい!」

('A`)「デレ、弓の有効射程範囲はいくつだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「……100m弱だと思います」

なるほど、とドクオさんは軽く笑った。

('A`)「じゃあ、その常識を打ち破る時だ。あのクルペッコ、狙えるか?」

ζ(゚、゚*;ζ「かなりキツいと思います。撃ち下ろしになりますから、届くとは思いますが、精密射撃となると……。まずここからでは的が絞れません」

くくっ、とドクオさんはまた笑う。

('A`)「大丈夫、的なら今出来た」

ツンとこの距離からでも感じる鼻につく独特な臭い。この臭いに覚えがあった。

ζ(゚ー゚*ζ「……あれは、ペイントですか?」

('A`)「ああ、あれはデレの妹が付けた物だ。クルペッコが飛び上がったタイミングで、あれを狙え」

従来、ペイント玉やペイント弾はマーキング機能として使われる。その独特で強烈な臭いから何キロ先にいるモンスターでも、ある程度把握できるようにする道具だ。

203 名前:【幕間】[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:56:05 ID:GkD/7Z4s0 [41/65]
ζ(゚、゚*;ζ「でっ、でもっ!あんなにクルペッコに動かれたら、どうしようもないですよ!  せめて動きが止まらないと!それに飛ぶタイミングを計りながらなんて……」

('A`)「動きは、男の方が止めてくれる。飛び上がるタイミングは俺が言うよ」

ζ(゚ー゚*;ζ「そんな……やっぱり無茶ですよ」

('A`)「大丈夫、もう覚えた。タイミングは任せろ。後はあの男次第だな」

204 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:56:50 ID:GkD/7Z4s0 [42/65]
ツンが、クルペッコに向かって遂に撃った。
それもペイント弾だ。疑うな、信じろ。ツンには何か意図があるはずだ。

ここで必要なのは、疑念ではなく信頼。

だからこそ、ボクはコイツと全力で向き合うだけだ。

長い戦いになった。クルペッコに執拗に啄まれた右肩は、もう感覚がない。 ずっとハンマーを振るうのに踏張っていた左足も、痙攣している。

それでも倒れられない理由がある。

クルペッコが翼先に付いている火打ち石を両翼で擦り付けた。今日何度も見た、火打石による打撃。もう身体が覚えていた。

( ^ω^)「……来いお」

ここで必要なのは威力。散々と蓄積してきたダメージを、一気に表に引き出してくれる、全力の一撃。

柄を最大限に長く握り込む。父から譲り受けたこの【デッドリボルバー】で。

ツンを護る為の一撃を。

渾身の一撃を。

クルペッコが跳んだ。速い、15mあった距離が一歩で半分まで近づいた。

落ち着け。動きを読み、予測する。  クルペッコの狙いは自分。ただ、目の前にハンマーを振り下ろせば当たるのだ。問題はタイミングのみ。

身体を千切れるほど、捻って力を溜める。

( ^ω^)「………」

205 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:57:22 ID:GkD/7Z4s0 [43/65]
クルペッコの脚が、地面を強く踏んだ。

来る。

『今だニャッ!!!』

地面から突然聞こえた声。自然と身体は動いていた。捻った身体を解放し、限界までハンマーを振り上げ落とす。

圧倒的な重量を生かした、この一撃。

乾坤一擲の『スタンプ』が、クルペッコの頭を捉えた。


            Gyaaaaaaaaa


響き渡るクルペッコの悲鳴。粉々に砕けた忌々しい嘴。

決め損なったか。傷だらけの身体では、やはり本来の全力には届かなかったようだ。

しかし、クルペッコにとってこの一撃は重かった。侮り故の手痛過ぎる代償。

ブーンは直ぐ様追撃をかける。あと一撃で、終わらせられるかもしれないのだ。

しかし、クルペッコはそんなブーンの決死の追撃を嘲笑うかの様に踊りを舞って、空を飛んだ。

飛んでしまったのだ。   何も知らずに。

206 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:57:48 ID:GkD/7Z4s0 [44/65]



             『デレ、今だ』

207 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:58:14 ID:GkD/7Z4s0 [45/65]
(;^ω^)「!?」

一陣の風が通り過ぎた。

風はクルペッコの翼。付着していたペイントの跡に突き刺さり、そのまま貫通して逆側の翼をも裂いた。

落下する【彩鳥】クルペッコ。

下で待つのは、余りにも巨大な一撃。

この千載一遇の好機。必ず物にする。

(#`ω´)「うおおぉぉぉおおお!!!!!!!!!!!!」


瞬間、クルペッコの頭が弾けた。

208 名前:【幕間 2】[] 投稿日:2011/03/29(火) 16:59:09 ID:GkD/7Z4s0 [46/65]
('A`)「そろそろだぞ、デレ」

矢をつがえる手が震える。自分の護りたい命が懸かった一矢というのは、ここまで緊張するものなのか。

今までに経験したことが無い程、弓が重かった。

('A`)「落ち着いて的だけを見据えるんだ」

ζ(゚ー゚*;ζ「はい」

('A`)「……そう緊張するな。言っただろ、お前は凄腕の弓使いだよ。自信を持て」

ζ(゚、゚*;ζ「でも、こんな遠距離初めてですよ」

想像してみろ。今、俺達の目の前に存在している物はなんだ。

ζ(゚ー゚*ζ「……分かりません」

('A`)「それはな、空気だよ。目には見えないけど、確かに空気はそこに存在している。
それらを全て貫通させるイメージを持て」

ζ(-ー-*ζ「………」

ドクオさんの言っている事が、なんとなく分かった。だからこそ瞼を閉じた。

イメージを膨らませる為に。

209 名前:【幕間 2】[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:00:04 ID:GkD/7Z4s0 [47/65]
『デレ、今だ』

ζ(゚ー゚*ζ

放った一撃、矢が弦から離れた所で弓を背中に戻した。

命中の有無を確かめる必要はなかった。

遠めで、無様に地面に突き落とされるクルペッコが見えた。

ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん、弓を使ったことあるんですね」

('A`)「いや、俺の幼馴染がな。よく俺に無理やり弓の練習をさせてる時に、そんなアドバイスをしてたんだよ」

ζ(゚、゚*ζ「へー、てっきりドクオさんは弓も使えるのかって思っちゃいました」

「まぁ、使えないことは無いんだけどな」と、頬を掻きながらドクオは言った。

ζ(゚ー゚*ζ「今度教えてくださいよー」

('A`)「俺は物を教えるのが上手くないからな。誰か他の人を当たってくれ」

ζ(゚、゚*ζ「……残念です」

『まぁ、俺の先生の教え方が悪かったせいだ。悪く思わないでくれ』

('A`)(でも……あの時、クーが言った事の意味は、デレが証明してくれたけどな)

210 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:00:30 ID:GkD/7Z4s0 [48/65]
(*^ω^)「いやったおおぉぉおお!!!!」

ξ*゚⊿゚)ξ「もう、そんなにはしゃがないでよ!みっともないわねっ!」

クルペッコはHR1の狩人が昇級するための試験に使われるモンスターなのだ。試験を受けるためには、ギルドが指定するクエストをこなさなければならない。   それを飛び越してのクルペッコの狩猟、ブーン達が喜ぶのも無理ない話である。

クルペッコが何故狩人の登竜門に選ばれるのか。それには幾つか理由がある。

211 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:00:51 ID:GkD/7Z4s0 [49/65]
まず飛べる事。

HR1の狩人達は、まだ単独で飛竜を狩りに行く事が出来ない。だから、空を自在に舞う敵と戦う経験が少ないのだ。

これから出会うであろう、そういうモンスターに対処出来るかどうか。

二つ目が、弱化攻撃。

クルペッコが吐き出す胃液は発火性が強く、少し火を近付けただけで豪々と燃える。

この胃液まみれになった身体に、クルペッコの火打ち石が直撃しようものならば、剣士用の装備を身に付けている狩人でさえただでは済まない。

しかし、一番の問題はガンナーだ。

この胃液は、常々ガンナーを苦しめる。想像すれば分かるだろう。

ボウガンの引金を引く度に起こる小さな火花。それだけでクルペッコの胃液は燃えだす。

つまりボウガンを操る狩人は、絶対にこの胃液を掛けられてはいけないのだ。


これらの厄介な理由。そして三つ目。これが一番大事な事。

狩りが終わっても、村に帰るまでは絶対に油断してはいけない。

狩人と大型モンスターとの戦闘は凄まじい。

だからこそ周りにいる別の大型モンスターに嗅ぎつけられる恐れがある。

絶対に気を抜いてはいけなかったのだが。

212 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:01:10 ID:GkD/7Z4s0 [50/65]
(*^ω^)「ボク達、昇級出来るんじゃないかお?」

ξ*゚⊿゚)ξ「そうね!クルペッコを倒したんだから!!」

だからこそ丘の上から二人を眺めていたデレは、危ういと思った。

普通の狩猟でも、剥ぎ取りは素早くとギルドからは指導されている。

ましてや、今回討伐したのは【彩鳥】クルペッコ。最初に聞こえたあの鳴き声、別の種の声帯を模写し、自らの命を省みず放つ捨て身の技。もしかしたら来るかもしれない。別の敵が。

そして感じたあの独特の威圧感。デレは駆け出した。このままでは、あの子達が危ない。

油断し、弛み切った二人には、ドスジャギィでさえ強大な敵となるだろう。

全力で脚を上げ、出来るだけ前に押し出す。

行ける、先日の戦闘や連日の移動による疲れは全くない。

しかし、そんなデレの全力疾走を軽々抜き去り駆け往く影が一つ。

ドクオだった。

213 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:01:46 ID:GkD/7Z4s0 [51/65]
ただでも気配に敏感なドクオは、クルペッコの特性【声マネ】を知らなくとも、あの独特なプレッシャーを感じた時点で駆け出していたのだ。

猛烈な加速で、グングンと二人に近付いていく。

ツンも自分に近付いてくる影に気が付いたが、自分達と同業だと知っていた事もあり、警戒しない。

そことは別の角度から凄まじい勢いで突っ込んでくる二頭の暴走機関車。

先に気が付いたのはブーン。

音のする方を見れば、余りに重量のある、速度を保った突進が自分達に迫っている。

この時初めて、ブーンは父から譲り受けたデッドリボルバーを歯痒く思った。

どうしてハンマーなんだ、ランスや大剣ならばツンを庇う事が出来たのに、と。   そう思うまでに、二頭の大猪は自分達に差し迫っていたのだ。

ここでブーンが、咄嗟にツンに抱き付き地面に押し倒したのは、勿論少しでもツンを庇うためである。

志高い、ちっぽけな騎士の為にもう一度繰り返そう。

決して邪な気持ちで、女性を押し倒したのではない。

しかし、いつまで経っても覚悟していた衝撃が来なければ、多感な時期の乙女が勘違いを起こしたとして。それもまた無理のない事だ。

結果、ブーンの股間は盛大に蹴り上げられる事となる。

214 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:02:08 ID:GkD/7Z4s0 [52/65]
('A`)「全く、習わなかったのか?モンスターの剥ぎ取りは迅速に、ってな」

(*゚∀゚)「ニャー、口酸っぱく言ってきたと思うのニャー」

【大猪】ドスファンゴを受け止めたのは、ドクオと地中に隠れていたツーだった。

ξ;゚⊿゚)ξ「ツー様っ!?」

(;^ω^)「それに、あの時の人もいるおっ!」

驚く二人を横において、あくまでドクオとツーはマイペースだった。

('A`)「ツー、このドスファンゴはギルド的に狩っても良いのか?」

(*゚∀゚)「ニャー。クルペッコが呼び出したモンスターは、例外的に誰が狩っても良い事ににゃってるニャー」

そうか、とドクオは背に納めていたもう一本の刀を取り出す。

('A`)「ツーは、二人を連れて下がれ。妹の方は、怪我してないだろうが男の方は、補助無しじゃ歩くのも辛いだろうからな」

(*゚∀゚)「ニャー」

すかさず、呆然としていた二人の頭を小突き正気を取り戻させると、ブーンの手を引いて走りだした。

215 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:02:38 ID:GkD/7Z4s0 [53/65]
さてっと、ドクオは此処で一呼吸置く。

一瞬出来た間。ドクオは足下に落ちていた手の平大の石を蹴った。

それは見事に、ツーが抑えていた方のドスファンゴに命中する。

これで二頭の注意はドクオに向いた。

('A`)「兎だけで四人分賄えるかと思ったが、幸運だった」

金銀の双剣が、沈みかけた夕陽に照らされ真っ赤に燃え上がる。

動き出したのはドクオが先だった。








ζ(゚ー゚*ζ「はぁ、ツンったら無茶ばっかりして!!」

ξ゚⊿゚)ξ「うるさいわねー、結果的に討伐出来たんだから良いじゃない」

その頃、こちらでは姉妹喧嘩が始まろうとしていた。  ただの姉妹喧嘩と侮るなかれ、この二人は狩人なのだ。殴り合いにでもなろう物なら、酔っ払った大男の喧嘩よりも質が悪い。

216 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:03:17 ID:GkD/7Z4s0 [54/65]
ζ(゚、゚*ζ「あれは運が良かっただけよ、ブーン君もツンに言ってあげて!」

(;^ω^)「おっ」

ξ゚⊿゚)ξ「なによ、自分の方が数年早く生まれただけで偉そうにしないで。ブーンもデレに何とか言ってよ!」

(;^ω^)「おっおっ……」

大体デレはっ、とツンの追撃を遮るタイミングでブーンが口を挟んだ。

( ^ω^)「あのー、さっきのひょろい男の人だけに任せて来ちゃって良かったんですかお?」

ζ(゚ー゚*ζ「……良いのよ。きっとあの人は、ドクオさんはそういう次元にいる人じゃないから」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、デレがそんな言い方するなんて珍しいわね。というより四人専門の貴方が、よく二人で狩りに行ったわね」

ζ(゚ー゚*ζ「仕方なかったのよ。じい様から、あの人を監視して欲しいって言われていたし。それにギコさんとの腕相撲を見て、ある程度のレベルだって事は分かったしね」

ξ゚⊿゚)ξ「ふーん、まぁ良いわ。それに確かにデレのあの一撃は本当に大きかったから」

(*゚∀゚)「……」

ツーは、そんな二人には構わずドクオの様子をじっと見ていた。

217 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:03:44 ID:GkD/7Z4s0 [55/65]
ζ(゚ー゚*ζ「それにしても、よく戦闘中に私達に気が付いたわね。流石、鷹の眼ね」

ξ゚⊿゚)ξ「……別に、見て気付いたんじゃないわ。匂いがしたのよ」

ζ(゚、゚*ζ「匂い?」

ξ゚⊿゚)ξ「肉を焼く匂いよ。それでデレに気が付いたのよ」

ζ(゚、゚*;ζ「……」

この言葉を聞いた時、デレは心の底から震えた。あの時ドクオが何気なく選んだ、あの丘も。あのタイミングで、調理をしだした事も。何もかも計算し尽くされていたのだ。

(*゚∀゚)「三人ともよく見ておくニャー。あれが完成された狩人の一つの形ニャー」

それは戦いではなく、舞いだった。

( ^ω^)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

初めてドクオの戦いを見た二人は等しく口を閉ざす。魅入っているのだ。ドクオの舞いに。

左右の手に握られた一対の双剣が、二つの放物線を描きドスファンゴを鋭く斬り裂く。

緩みないスピードで振り続けられる刃は、点ではなく線を描く。

それが一つの結界となり、絶対防御となる。

そしてドクオが紡ぎだす剣となるのだ。

218 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:04:04 ID:GkD/7Z4s0 [56/65]
( ^ω^)「……凄いお」

ξ゚⊿゚)ξ「……綺麗ね」

ここまでは落ち着いて見ていたデレが、一つ気が付いた。

ζ(゚、゚*ζ「……なんだか、ドスファンゴが小さくなってる?」

それに答えたのはツー。

(*゚∀゚)「多分、あれは狩りながら剥ぎ取ってるのニャー」

寒気が走る。そんな事が人間で可能なのだろうか。   三人は同じ事を思っていた。

あの大きすぎる背中に、追い付いてみたい、と。

219 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:04:33 ID:GkD/7Z4s0 [57/65]


('A`)「ん、どうした?猪の肉は嫌いなのか?」

(;^ω^)「いっ、いえいえ!お気遣いなくですおっ!!」

夕食は四人と一匹になった。
ドスファンゴから剥ぎ取った素材は、食べられる部分以外はツンとブーンに渡した。

元々ドスファンゴで作ろうと思う物など無かった。それに使い道のない自分が持つよりも、前途有望な若い狩人に使って貰った方が有益だろう、と考えたからだ。

(;^ω^)「ドクオさんは狩人になって何年になるんですかお?」

('A`)「ドクオで良い、ブーン。狩人に尊敬は最低限しかいらない。それよりも信頼の方が大切だ。
正式に狩人になったのは十年前だな。16の時だ」

(;^ω^)「十年でHR6ですかお、とんでもないスピードですお」

('A`)「いや、俺は元々ドンドルマ出身だからな。そこでGの称号を受けた事からユクモでは最高ランクを貰ったんだろう」

( ^ω^)「G級……」

父が憧れ、それでも届かなかったその領域。

220 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:05:01 ID:GkD/7Z4s0 [58/65]
( ^ω^)「G級の狩人は、伝聞でしか聞いたことがないですお。何人くらいいるんですかお?」

('A`)「Gを持つ狩人は四人だ。まぁGを持っていなくとも、俺達より強い変人は居たがな」

“One Shot Killer”“Spear The Gungnir”そして“Elven Arrow”。この三人にドクオを加えた四人がGを頂く事を許された狩人。

( ^ω^)「ドクオにもあるんですかお?そんな称号」

('A`)「“さん”付けをやめたんだから、敬語もやめてしまえ。称号か、俺にもあったがな。もう忘れちまった。自分でそう呼ぶ事なんてなかったしな」

(;^ω^)「でっ、では失礼して敬語をやめさせて頂くお!!」

('A`)「おー、そうしろ。俺も使わないしな」

最初はぎこちなかった男二人の会話も、次第に弾んできた。ブーンは元々友人の多い方ではあったが、ベテランの狩人との会話は、まず尊敬から始まる。

だからこそ気兼ねなく話せる凄腕の狩人という意味では、ドクオが初めての存在だった。

221 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:05:32 ID:GkD/7Z4s0 [59/65]
(*^ω^)「このお肉美味しいおー!!」

('A`)「猪の肉は獣臭いが、しっかり血抜きすればアプトノスの霜降りのような味になる」

(*^ω^)「おっおっ!ドクオは狩りだけじゃなく料理も凄腕だお!!」

そんな事ないよ、とドクオは喜ぶブーンの顔を嬉しそうに見ながら頬を掻いた。   ここまで真っ直ぐ見つめられながら褒められるのは、如何にも照れくさい。

ξ゚⊿゚)ξ「あの様子を見てると、さっきまでの姿が嘘みたいね」

ζ(゚ー゚*ζ「そうね、私も最初ドクオさんの姿を見た時は頼りないって思ったもの。今でもギギネブラと戦っていた時の彼は、現実じゃないみたいだわ」

(*゚∀゚)「まー、オレっちも最初、ドクオが狩人だって気付けなかったからニャー」

こちらでは、女子+雌が話している。

ζ(゚ー゚*ζ「ツー様も気付かなかったんですか?」

(*゚∀゚)「ニャー。なんというか身体も細いし、オレっちの事を助けようとするし、運搬に使っていたガーグァを【青熊獣】がいるからって逃がしたりしてたからニャー」

ξ;゚ー゚)ξ「変わった人なんですね」


ドクオが作った料理を四人で食べ終えた。

一狩り終えた後の食事は、やはり美味い。皆、お腹一杯まで食べて動くのも億劫なのか、焚き火を囲んで武器の手入れをしていた。

222 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:05:59 ID:GkD/7Z4s0 [60/65]
('A`)「そのハンマー、良く手入れがされているな。それに、なにか使い込まれた武器独特の趣を感じる」

( ^ω^)「おっ!これはボクの父ちゃんが旅に出る前に譲ってくれた物なんだお!」

('A`)「ほー、デッドリボルバーか。良い狩人なんだな、ブーンの父は」

( ^ω^)「良いとーちゃんでもあったお。誕生日には必ずリオレウスの牙や爪を贈ってくれたお」

ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさんの双剣は、凄い綺麗ですけど。鉱石を使った物なんですか?」

('A`)「ん、これはリオレウスとリオレイアの夫婦剣だな」

この言葉に三人は息を呑んだ。金と銀の夫婦剣。それはユクモの狩人、誰もが憧れる武器。

(;^ω^)「討伐したんですかおっ!?あの火竜の希少種を!!」

('A`)「いや、討伐したわけじゃないがな。一度戦った事はある。その時に奴らから剥ぎ取った素材を使って作ったんだ」

( ^ω^)「……信じられないお」


金銀の火竜。それは飛竜の頂点に立つ存在。

飛竜の中で最も高貴で、最も強大な竜なのだ。

そしてブーンの父親が、旅に出る原因となったモンスターでもある。

223 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:06:25 ID:GkD/7Z4s0 [61/65]
( ^ω^)「ドクオ!!!」

('A`)「ん、どうした?」

( ^ω^)「ボクに狩りを教えて欲しいお!!」

ドクオを見つめる真っ直ぐな瞳。
迷いも無く、そして遠慮の無い実直な言葉。

('A`)「あぁ、別に構わないよ」

(;*゚∀゚)「ニャ?」

(;^ω^)「えらい軽いお」

('A`)「いや、俺がユクモに来た理由に準じているからな」

( ^ω^)「ブーンを鍛える事がですかお?」

('A`)「まぁな」

それ以上、ドクオは深くを話さなかった。  夜も更け、月もすっかり山の向こうに姿を消している。

ただ焚き火の柔らかな灯りと、暖かな温度が、四人を包んでいた。

224 名前:【終幕】[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:06:56 ID:GkD/7Z4s0 [62/65]
ユクモギルドの地下。“大老殿”と呼ばれる場所がある。

そこに足を踏み入れる事が許されるのは、ごく一握りの狩人とギルドマスターであるアラマキ。そして、大老衆と呼ばれる五人の者だけだ。

『ギコ、状況を説明してくんろ』

(,,゚Д゚)「はっ!積乱雲を引き連れ現れた【雷狼竜】ジンオウガは、渓流エリアを大きく逸れ、ユクモ山の頂上付近に住み着いたようです」

『にゃるほどー、という事は切迫した状況ではないのかにゃん』

(,,゚Д゚)「確実に、とは言えませんが。ただ、現時点で撃退が必要な状況ではないと思われます」

『ほえばー!じゃが迅速に動かねばなるまい』

『アラマキよぉー、これはあの言い伝えの予兆と考えた方が良さそうじゃのー』

/ ,' 3「ふぉほほ、問題あるまい。この時のために彼の双剣使いを送って貰ったんじゃからのぉー。
それに、残りの“G”もこちらに向こうてくれとるらしいしのぉ」

『しかし、ドンドルマの竜人に貸しを作るのは癪だにゃん』

『ほえばー、今はそんな事を言っとる場合じゃあるまいのぉー』

225 名前:【終幕】[] 投稿日:2011/03/29(火) 17:07:17 ID:GkD/7Z4s0 [63/65]
(,,゚Д゚)「しかし、祭りは……」

/ ,' 3「中止にするしかあるまいのぉー。楽しみにしている子供達には申し訳ないがのぉ。  チミは一度彼の双剣使いと狩りに行って来ると良いのぉ。チミがユクモでは一番“G”に近いからのぉ。その領域を体験してみるのも大事じゃろうてー」

(,,゚Д゚)「はい!!」

ユクモに伝わる伝説。G級の存在。その二つが大きく交わり、絡み合う。

ユクモの存亡を賭した戦いの足音が、一歩、また一歩と近づいていた。



('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 三話 END





('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです 4話
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