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( ・∀・)の王国のようです 第三話 2011年05月25日 ( ・∀・)の王国のようです トラックバック:0コメント:0


138 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:37:12 ID:0F2dSoEgO [2/29]



( ・∀・)の王国のようです


‐第三話‐
涙で滲んだ月


.

139 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:38:26 ID:0F2dSoEgO [3/29]


ガラスが陽光を反射しながらキラキラと舞い落ちる。
光のカケラは見えない壁に阻まれ、小猿に当たることはなかった。

( ;ω;)「……おう、さま?」

王様を探しても目にはいるのは、瓦礫、ガラス、鉄骨、赤い線。

( ;ω;)「……お?」

赤い、線。

つつつ。と伸び続ける出来たばかりの赤い線を辿ると、ごちゃ混ぜの山の間から同様に赤い五本の指。

目に入った瞬間が合図だったかのように駆け出した。

.

140 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:40:10 ID:0F2dSoEgO [4/29]


( ;ω;)「おうさま!大丈夫ですかおっ!?」

突き出された指をぐいぐいと引っ張る。

『まだ』温もりの残る手からは何の力も感じられず、反応が無かった。

抱えっぱなしだった果実を、ぎゅっと王様の手に押し付ける。

( ;ω;)「おうさま……。くだもの食べて下さいお……。」

それでも、果物は抵抗無く地面に転がった。

.

141 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:41:51 ID:0F2dSoEgO [5/29]

少しかじって渡してもそれは変わらず。

ただ、ただ、王様は無言だった。

今朝はこれで「ういやつめ」と撫でてくれたのに。

( ;ω;)「おうさまー!朝ですおー!
       起きてくださいおー!」

イヤだ。



イヤだ。






イヤだ。

ブーンの頭の中では否定の言葉が繰り返される。

.

142 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:42:41 ID:0F2dSoEgO [6/29]

彼は理解出来なかった。理解したくなかった。


絶対に、イヤだ。


あの膝で温もりに包まれて寝ていたい。
幸せを湛えた笑顔で撫でられたい。

(  ω )「おねがいですから……。起きてくださいお……。」

王様の手元を離れられず、ただ下を向いていた。



(  ω )「……お?」

いつのまにか地面に現れたのは、光る円と不思議な文字。

.

143 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:43:39 ID:0F2dSoEgO [7/29]


その図形が一際輝いたあと、王様に被さる瓦礫が砂になり霧消した。

そして、王様の体が光になって形が整えられていく。
輝きが失われた時、元の姿の王様があった。

( ・∀・)「ん……?
      あぁ。死んじゃったか。
      ブーンくん。怪我は無いかい?
      びっくりしちゃったね。」

抱き付き涙を流し続ける家来の頭を、王様は優しく撫でた。

彼のために泣いてくれる大事な家来が泣き止むまで、ずっと。

.

145 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:45:18 ID:0F2dSoEgO [8/29]


~~~~~~~~~~


頭上に広がるのは満天の星空。

雲一つ無く風が穏やかに流れる中、広場の中心には瓦礫で組まれた焚き火。

王様は自らの顔を照らす灯りを眺めている。
その膝の上にはすやすやと寝息を立てる可愛い家来。

( ・∀・)「……。」

王様は街の広場でキャンプをすることにした。

.

146 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:46:36 ID:0F2dSoEgO [9/29]


待ち合わせに使われ、電車が無くなった時間でもナンパ待ちの女性やそれに群がる男達で賑わっていたこの広場。

若者が発する喧騒や、毎晩代わり映えのないストリートミュージシャンが響かせていた歌声は遥か昔。


今聞こえるのは火花の弾ける音、家来の寝息と草葉の擦れ合う音。

ここにはたった一人と一匹。だけ。


ふと、王様が空を見上げる。

人の営みが消えた世界。
人の発する光と夜空がから降り注ぐ光は喧嘩せず、プラネタリウム顔負けの星空が広がっていた。

.

147 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:48:17 ID:0F2dSoEgO [10/29]


彼は子どもの頃から伝承や伝説を学んでいたため、目に映る全ての星座を述べる事が出来た。


そう。子どもの頃から。


物心付いた頃からすでに彼の傍らには父お抱えの家庭教師がいた。

幼稚園に通う事は許されず、小学生になってからも同年代の子どもと過ごすことは無かった。

放課後や休日等全ての時間は、知識を詰め込む事と、大人との社交の場で顔を広めるために使われた。

.

148 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:49:41 ID:0F2dSoEgO [11/29]


中学、高校、大学と、親の決めた学校に通った。

選ばれた人間のみが通う世界でも、常にトップを求められた。
もちろん、勉強「しかなかった」彼にとって容易なことだが。


自由という言葉を知っていても、彼の世界には関係の無いものだった。




彼が病を患い、彼女と出会うまでは。



.

149 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:50:57 ID:0F2dSoEgO [12/29]


( ・∀・)「そう。自由。」


彼は、自由に憧れ続けた。

誰にも何も言われない。
誰にも何も強制されない。
病に時間を奪われない。

そんな自由を。

彼は今、その「完璧な」自由を手にしている。



その代わり、

誰にも何も言って貰えなくなった。
必要とされ、何か求められる事もなくなった。
君と過ごすはずの僅かな時間さえ消え去った。

.

150 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:52:08 ID:0F2dSoEgO [13/29]


この自由の代償に、何かを手に入れられただろうか?

彼はなんのために自由を求めていたのか。

自由が欲しくて駆けずり回って、やっと逃げ込んだこの王国に彼は来たかったのか?


自由ってなんだっけ。


見上げた星空はいつの間にかぼやけていた。

( ;∀;)「君はまだ、僕の中にいるのかな?
      ねえ?クー。」

涙で滲んだ月に問いかける。


.

151 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/05/23(月) 18:52:40 ID:0F2dSoEgO [14/29]





月は、なにも答えてくれなかった。





つづく





( ・∀・)の王国のようです 夢三話
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